FX/為替「米大統領選後の大変動で落ち着きどころ定まらず」 外為どっとコム トゥデイ 2024年11月8日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年11月8日8時50分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼7日(木)の為替相場
(1):三村財務官 けん制トーンをやや強める
(2):豪貿易収支 予想を下回る
(3):独鉱工業生産 予想を下回る
(4):BOE 金利引き下げ
(5):米新規失業保険申請件数 やや増加
(6):FOMC 予想通り利下げ
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:不安定な値動きが続きそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
7日(木)の為替相場
期間:7日(木)午前7時10分~8日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):三村財務官 けん制トーンをやや強める
財務省の三村財務官は、為替相場について「投機的な動向も含め、『極めて』高い緊張感を持って注視する」と述べ、円安けん制のトーンをやや強めた。その上で「行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取っていく」と語った。
(2):豪貿易収支 予想を下回る
豪9月貿易収支は46.09億豪ドルの黒字。黒字額は市場予想(52.74億豪ドル)を下回った。その後に発表された中国10月貿易収支は957.2億ドルの黒字。輸出の伸びと輸入の減速を背景に黒字額は市場予想(750.0億ドル)を上回った。
(3):独鉱工業生産 予想を下回る
独9月鉱工業生産は前月比-2.5%と、市場予想(-1.0%)を下回る落ち込みとなった。同貿易収支(季節調整済)は170億ユーロの黒字だった(予想209億ユーロの黒字)。
(4):BOE 金利引き下げ
英中銀(BOE)は予想通りに政策金利を5.00%から4.75%に引き下げた。利下げは8対1の賛成多数で決定。マン金融政策委員会(MPC)委員は5.00%に据え置くことを主張して利下げに反対した。BOEは声明で「インフレ率を目標値付近で確実に維持する必要があるため、あまりに急激な、あるいは大幅な利下げはできない」と表明。「しかし、経済がわれわれの予想通りに推移すれば、金利はここから緩やかに低下し続ける公算が大きい」と続けた。ベイリー総裁はその後の会見で「総合インフレ率を目標とする2%にするには、サービス価格の上昇が広範に鈍化する必要がある」と述べてサービス部門のインフレ率は依然として高すぎるとの認識を示した。これらを受けてBOEが12月は利下げを見送るとの見方が広がりポンドは上昇した。
(5):米新規失業保険申請件数 やや増加
米新規失業保険申請件数は22.1万件と市場予想(22.2万件)を僅かに下回ったが、前週(21.8万件)からやや増加した。
(6):FOMC 予想通り利下げ
米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りに政策金利であるFF金利の誘導目標を「4.75-5.00%」から「4.50-4.75%」へと引き下げた。声明では、米経済の現状について「労働市場の状況は概して緩和しており、失業率は上昇したが、依然として低い。インフレ率は委員会の2%のインフレ目標に向けて進展したが、依然やや高止まりしている」との認識を示した。また「委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す」と表明。ただ、前回「インフレが持続的に2%に向かいつつあることに『自信を深めている』」とした一文は削除した。これについて、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の記者会見で「インフレの粘着性について何かを示唆するものではない」と説明した上で「政策スタンスの調整により、インフレ率が2%に持続的に低下すると引き続き確信している」と表明した。パウエル議長はまた、「インフレ目標を達成するために労働市場のさらなる減速は必要ない」「労働市場が悪化した場合、より迅速に行動する可能性がある」「(利下げの)ペースを落とす状況に至る可能性もある」と労働市場の動向を注視する姿勢をあらためて示した。なお、トランプ次期大統領から求められたら辞任するかとの質問に対しては「ノー」と回答。議長を含むFRB高官の解任や降格は「法律上できない」と明言した。
7日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:不安定な値動きが続きそう
昨日のドル/円は終値ベースで約1.1%下落。米大統領選でトランプ氏が勝利したことを受けて大幅にドルが買われた反動や、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げ停止を示唆しなかったとの見方からドル売りが出た。FOMC後には朝方の高値から2円以上低い152.69円前後まで下落する場面もあった。なお、トランプトレードの一環で前日に4.47%台まで上昇していた米10年債利回りはこの日、一時4.30%台まで低下。為替市場も米債市場も米大統領選後の大変動を受けて落ち着きどころを見失っているようだ。ドル/円は本日も米長期金利の動向を横目に不安定な値動きが続きそうだ。200日移動平均線が通る151円台後半は押し目買いが入りやすく堅いと見るが、153円台後半からは戻り売り圧力が高まるだろう。
注目の経済指標:ミシガン大消費者態度指数
注目のイベント:ボウマンFRB理事発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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