ドル円、一時156円台まで買い戻される 上値期待は根強い=NY為替概況
ドル円、一時156円台まで買い戻される 上値期待は根強い=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は後半に伸び悩んだものの、一時156円台まで買い戻されている。前日は一時154円台に値を落としていたが、155円を維持して終えたことで、買戻しが入っていたようだ。円キャリー取引によるドル円の上値期待は根強い。21日線も維持されており、本格的な調整モードには入っていないようだ。
ストラテジストは、日銀の利上げ観測が高まる中で円は上昇したものの、持続的な回復にはさらに材料が必要だと指摘ている。前日の植田総裁の講演は、利上げに向けた準備運動のように見え、今月または1月の利上げの可能性を示唆した。短期金融市場でも12月の利上げ確率を80%程度で見ている状況。植田総裁が金利に言及し、政府とのコミュニケーションが円滑に進んでいると語ったことは、日銀が近く行動に移る準備が整っていることを示唆しているという。
ただ、同ストラテジストは12月の利上げを見込んでいるが、その後は再び長い空白期間が訪れるかが次の焦点になるとしている。円の持続的な回復には、日銀がより強いガイダンスを示し、日本政府も財政面で慎重姿勢を示す必要があると指摘している。
ユーロドルは1.16ドル台前半での方向感のない展開が続いた。21日線と100日線の間での推移が続いており、下げは一服しているものの、自律反発の域は出ず、上値は重い。次のアクション待ちといったところ。一方、NY時間に入って円の買戻しが出ていることから、ユーロ円は再び180円台に値を落とす動き。
この日発表の11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は、前月から伸びが若干加速したものの、追加利下げの根拠はほぼ見当たらないとするECBの見解を裏付ける内容となった。ユーロへの影響も特に限定的。
ユーロ圏のインフレは9カ月間、ECBが目標とする2%付近での推移が続いている。基調インフレの圧力も、より緩やかなペースではあるが弱まりつつある。ただ、ユーロ圏加盟国間では違いが出ており、ドイツではインフレが加速した一方、フランスでは横ばい、スペインとイタリアは減速した。
ポンドドルは方向感のない展開が続いており、1.32ドル付近で上下動。一方、ポンド円は一時206円台に上昇し、4日ぶりに反発。次第に上値は重くなっているものの、21日線の上での推移を維持しており、上昇トレンドは継続している。
アナリストは、英中銀が12月18日に追加利下げを実施する公算が大きいことから、ポンドは年末までに下落する可能性があると指摘している。労働市場の軟化と最近のインフレ鈍化の兆候により、今月の金融政策委員会(MPC)での利下げには十分な根拠があるという。
また、向こう1年を見据えると、先週の英予算案で財政引き締めが実施されなかったことは、英中銀が今後数年間に、より積極的な利下げを行う推進力にはならないとも指摘。ただし、今回の財政措置は向こう1年はインフレ抑制に寄与し、利下げ余地をもたらす可能性があるとも付け加えた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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