【これからの見通し】ドル売り圧力継続か、米利下げ観測と日銀利上げ観測の再燃で 英予算案が波乱材料
【これからの見通し】ドル売り圧力継続か、米利下げ観測と日銀利上げ観測の再燃で 英予算案が波乱材料
この後の海外市場ではドル売り圧力が継続しそうだ。昨今の米金融当局者らのハト派発言で米利下げ観測が高まっている。最新のCMEフェドウォッチでは12月利下げ観測が85%程度まで上昇している。一方で、日銀については「日銀がタカ派シグナル発信し市場に12月利上げに備えさせる」とのロイター報道を受けて、利上げ機運が再燃する可能性がある。連合からも円相場や物価安定がなければ賃金上昇の効果を減免させかねないとの主旨の発言があった。円安対応が急がれる雰囲気になってきている。
また、側面からのドル安や円高の面も指摘される。きょうは豪インフレが予想を上回る伸びを示し、豪ドル/ドルが買われた。また、NZ中銀は予想通りの利下げを発表したが、今後は利下げ打ち止めとの見方が広がりNZドル/ドルが買われている。その裏返しとして米ドルに売り圧力が掛かる状況となっている。
さらに日本と中国との政治関係が不安定になっており、中国が強硬姿勢を強めていることが地政学リスク的な相場状況につながっている。金相場が再び活気づいている。これもドル売り圧力やリスク回避の円高などにつながりそうだ。
その一方で、現状での日米金利差が円キャリー取引圧力として根強く存在している点も指摘される。ドル円は下値をうかがいつつも、一気には下げにくいようだ。この後の海外市場で155円台に再び軟化してくるのかを確認したい。
日本時間午後9時30分にはリーブス英財務相が秋季予算案を発表する。ここ2カ月ほどの間、ポンド相場に関する材料として話題が豊富なイベントとなっていた。200億ポンドの財政赤字の穴埋めについて、公約として所得増税が封印されるなかで、歳入増の所策が示されることとなる。多くの情報が発信されることとなりそうだ。全体として、マーケットが英財政継続性についてどのように反応するのかがポイントとなる。市場の信認が得られれば、ポンド買いが強まる。一方、失望を誘うこととなればポンド急落のリスクもある。
この後の海外市場で発表される経済指標は、米MBA住宅ローン申請指数(11/15 - 11/21)、米耐久財受注(速報値)(9月)、米新規失業保険申請件数(11/16 - 11/22)、米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)(11月)など。雇用関連指標として新規失業保険申請件数が注目されそうだ。市場予想は22.5万件と前回の22.0万件からの増加が見込まれている。
発言イベント関連では、上記の英秋季予算案発表のほかにミュラー・エストニア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、レーンECBチーフエコノミスト、ラガルドECB総裁などECB高官らの講演やイベント参加が予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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