ドル円、買い戻し優勢も一辺倒の上げは後退している気配=NY為替概況
ドル円、買い戻し優勢も一辺倒の上げは後退している気配=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は買い戻しが優勢となり、一時157円台に戻した。ただ、途中から急速に売られ、156円台に再び下落する展開。依然として底堅い値動きは続いているものの、一辺倒の上げは後退している気配もあり、上値での戻り売りも出て来ているようだ。
11月調査のダラス連銀製造業景気指数が発表になり、予想以上のマイナスとなっていた。普段はあまり反応しない指標ではある。先週の米経済指標でも見られていたが、ドル円は弱い数字に敏感になっている気配も見受けられる。
先週はウィリアムズNY連銀総裁が12月利下げに支持を表明し、本日は今年の投票権はないが、デーリー・サンフランシスコ連銀総裁も利下げ支持を打ち出していた。短期金融市場でも12月利下げの期待が復活しており、確率は85%まで上昇している。
ただ、ドル円は下値での押し目買い意欲は依然として強く下押しする動きまではない。日本の財政不安も燻る中、円は短期的に軟調な局面が続くとの見方は根強い。このような中、過熱感は依然払拭されていないが、ドル円は160円を目指した底堅い値動きが続くと見ている向きはなお多いようだ。
ユーロドルは方向感のない展開となり、1.15ドル台前半での上下動に終始した。先週の下げは一服しており、1.15ドル台はかろうじて維持しているものの、本日1.1565ドル付近に来ている21日線の下での推移が続いており上値は重い。一方、ユーロ円は181円台に買い戻されていたものの、再び180円台に伸び悩む展開。
本日は11月調査のドイツのIfo景況感指数が発表されていた。ドイツ政府は歳出を増やしているものの、景気低迷からの脱却が容易ではないことが改めて示されている。11月の期待指数は90.6と、前月の91.6から低下した。
Ifoの所長は「企業は現状をやや前向きに捉えているが、近い将来に景気が回復するとの期待はほとんど持っていない」と指摘。一方、製造業は大きな打撃を受けているとも付け加えた。ドイツ連銀や大半のシンクタンクは第4四半期のドイツ経済のプラス成長を見込んでいるが、最近になって予測を引き下げたところもある。メルツ首相の経済顧問は今月、来年の成長予測を1%未満へと引き下げた。
ポンドドルは1.31ドルちょうど付近での上下動が続き、方向感のない展開となっている。一方、ポンド円は205円台後半まで買い戻されていたものの、205円台半ばに伸び悩む展開。
市場は26日(水)のリーブス英財務相による秋季予算案の発表を待っており、その内容を見極めたいムードも強いようだ。アナリストは「英国債とポンドは、避けることのできない財政引締めがどのような内容になるのか、財政ギャップが十分に埋められるかどうかに敏感に反応するだろう」と述べていた。先週、リーブス財務相が所得税率の引き上げ計画を撤回したと報じられていた。
なお、本日は個人貯蓄口座(ISA)の1年間の非課税枠上限が従来の2万ポンドから1万2000ポンドに引き下げられると伝わっている。英FT紙が関係者の話として伝えた。また、英国版NISAである「ブリットISA」の非課税枠引き上げも断念したと報じられている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。