ドル安優勢、ドル円も155円台に一時下落 利下げを確実視する動き=NY為替概況
ドル安優勢、ドル円も155円台に一時下落 利下げを確実視する動き=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル安が優勢となり、ドル円も一時155円台に下落した。市場では利下げ期待が強まっており、短期金融市場では利下げを確実視する動きが出ている。本日発表の米生産者物価指数(PPI)や消費者信頼感指数も利下げ期待を後押しした。
米PPIは、FRBが重要視するコアPCE価格指数の算出に使用される部分が、その期待を後押しする内容だったほか、米消費者信頼感指数も弱い内容だった。景気の勢いが鈍化しつつあり、金融緩和が一段と近づいているという見方を後押ししている。また、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長が次期FRB議長の最有力候補と伝わったこともドルを圧迫。
日本の財政不安も燻る中、円は短期的に軟調な局面が続くとの見方は根強い。ただ、来年にかけてはドル円の下げを見込む声も少なくない。米大手証券のストラテジストによると、米景気減速の兆しが強まる中、FRBが連続利下げに踏み切れば、今後数カ月でドル円は約10%下落する可能性があると指摘している。現在のドル円は適正水準から乖離しており、関係が戻れば米金利低下を背景に来年第1四半期にドル円は下落すると予想している。また、日本の財政政策は特段拡張的ではないとも言及していた。
半面、来年後半に米景気が回復して円キャリー取引の需要が戻れば、円は再び下落圧力が強まる可能性はあると指摘。ドル円は来年第1四半期に140円程度まで下落し、その後、来年末には147円前後に戻るとのシナリオを描いているようだ。
ユーロドルは買い戻しが膨らみ、1.15ドル台後半まで一時上昇。本日の21日線が1.1560ドル付近に来ており、その水準での展開を見せている。一方、ユーロ円は一時180.10円付近まで下落していたものの、180円台後半まで一時買い戻される展開。伸び悩む動きは出ているものの上昇トレンドに変化はない。
現在、市場ではECBは利下げサイクルを終了し、当面政策金利は据え置かれると見られている。短期金融市場では追加利下げの確率は50%未満を示唆。ただ、ファンドマネジャーからは、ECBの追加利下げの可能性を市場は過小評価しているとの指摘が出ている。
成長が潜在水準を下回っていることから、追加利下げの余地はあると指摘。その上で、米国との金利差拡大を避けるため、ECBは利下げが必要になるとの見解を示している。来年のFRBが新議長の下で、よりハト派的になれば、ECBは耐えられないという。2026年後半にさらに2-3回の利下げが行われ、中銀預金金利が現在の2.00%から1.50%未満になると見ているようだ。
ポンドドルも買い戻しが優勢となり、1.32ドル台を一時回復。きょうの上げで21日線を回復し、明日以降の展開が注目される。一方、ポンド円はドル円とは逆に買いが膨らみ、205円台後半に一時上昇した。
市場は明日のリーブス財務相の秋の予算案に焦点を集めている。英予算は、ポンド建て資産の急落を回避できるだけの慎重さはある一方、英経済を財政の罠から脱出させるほどの強さには欠ける可能性があるとの指摘が出ている。
観測では所得税引き上げ計画はなしと思われるが、それを補うために、多様で複雑な新税導入に踏み切るとの見方が強まっている。その結果、英国の僅かに残された成長エンジンにとって重荷となり、いずれにしてもポンド安の反応になるのではとの見方も根強い。ただし、それをだいぶ織り込んで、ポンドは下げている点は留意される。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。