為替相場まとめ9月15日から9月19日の週
15日からの週は、米英日など主要国の金融政策動向が注目された。第一に米FOMCに注目が集まった。予想通り25bp利下げが発表された。また、年内2回の利下げ見通しが示された。一時ドル売りに反応。しかし、パウエル議長が景気の底堅さを強調したことで、過度な利下げ期待が後退し、ドル買いが優勢に転じた。新規失業保険申請件数が雇用の底堅さを示したことも、ドルの下値を支える要因となった。英中銀はが政策金利を据え置き、量的引き締め(QT)の減速ペースは市場予想と一致した。ポンドは、対ドル・対円でやや買われる一方で、ユーロに対しては軟調に推移する場面も見られた。ユーロは、先週のECB理事会で当面の利下げ終了が示唆されていたこともあり、対ドルで上昇を続け、一時1.19ドル台に達するなど堅調に推移した。日銀は金融政策決定会合で政策金利を据え置いた。しかし、高田委員と田村委員が利上げを主張し反対票を投じた。また、日銀が保有するETF(時価76兆円相当)の年間3300億円規模の売却を決定した。これらを受けて円買い反応が広がった。しかし、植田日銀総裁会見では10月利上げについての示唆はみられず、円買いは一服した。円相場にとっては自民党総裁候補に関する報道がかく乱材料となる場面もあり、落ち着かない相場だった。ドル円は一時の円買いの反動もあり、金曜日の海外市場で今週の高値を更新する場面が見られた。
(15日)
東京市場は敬老の日の祝日のため休場。
ロンドン市場は、ドルが軟調に推移。東京勢不在のアジア市場ではドル円が147円台後半から半ば割れへと軟化した。ロンドン時間に入るとポンドドルやユーロドルなどに買いが勢い付いている。ポンドドルは約2か月ぶりに1.36台に乗せている。ユーロドルは1.17台前半から後半へと上昇。ドル円は147.25付近に安値を広げている。米10年債利回りは4.085%付近に上昇したあと、4.055%付近へと低下。クロス円は、アジア市場でやや円高推移も、ロンドン時間には円売りが優勢になっている。ユーロ円は173円台割れから173円台前半で振幅、ポンド円は200円台割れから200円台半ばへと上昇。ユーロ対ポンドでは、ややポンド買いが優勢になっている。株式市場は米利下げ観測が引き続き好感され、欧州株は総じて高い。米株先物・時間外取引も小幅高となっている。アジア株は、中国の小売売上高や鉱工業生産が弱含んだことで上値が重くなる面もあったが、欧州時間にはそのムードは払しょくされている。
NY市場では、ドル売りがやや優勢。ドル円は一時147円台前半へ下落した。今週開催されるFOMCの結果待ちで様子見の雰囲気が広がっている。市場では、FRBが年内に予定されている3回のFOMCで、0.25%ずつ、合計0.75%の利下げを実施することを完全に織り込んでいる。主要通貨では、ユーロドルが1.1770ドル近辺、ポンドドルが1.36ドル台に上昇。ユーロ円は173円台半ば、ポンド円は200円台を維持し、年初来高値圏で推移している。アナリストは、FRBの利下げ再開により、年末までにユーロドルは1.20ドルまで上昇する可能性があるとみている。また、今週は英国の金融政策委員会(MPC)も開催されるが、政策金利は据え置きが確実視されている。市場の関心は、10月からの量的引き締め(QT)の減速に移っており、エコノミストは保有国債の削減ペースが年1000億ポンドから700億ポンド程度に減速すると予想している。
(16日)
東京市場では、国内の政治情勢を主な要因として円買いが優勢となった。小泉農水相の自民党総裁選への出馬表明が材料視された。小泉氏が、金融引き締めに消極的と見なされる高市氏の有力な対抗馬になるとの期待から、将来的な利上げや財政規律改善への思惑が広がり、円買いが活発化した。この動きを受け、ドル円は147円台を割り込み146.81付近まで下落。ユーロ円やポンド円などクロス円も同様に円高が進行した。一方、ドルが主要通貨に対して売られたことで、ユーロドルやポンドドルは上昇した。朝方にはミラン氏のFRB理事承認が報じられたが、市場の予想通りだったため、為替への影響は限定的だった。
ロンドン市場は、総じてドル安の動きが広がっている。特にユーロドルは1.18台乗せから高値を1.1818付近まで伸ばしており、7月初頭以来の高値水準になっている。ポンドドルも堅調で、本日の高値を1.3645付近に更新。ユーロは対ポンドでも堅調に推移している。米FOMCでは利下げがコンセンサスとなるなかで、先週のECB理事会では当面の利下げ過程の終了が示されていた。また、ドル円は146.70付近まで下げたあと、147円付近へと下げ渋っている。クロス円も上昇に転じており、ユーロ円は173.70付近に本日の高値を更新している。ポンド円も200.50付近まで反発。東京市場での円高の動きは一服している。欧州株は全般に軟調に推移している。明日の米FOMC結果発表を控えて、調整売りに押されている。米10年債利回りは4.02-4.04%台で推移しており、特段の方向性はみられていない。
NY市場では、米FOMCを前にドル安が進行した。ドル円は146.30付近まで下落。100日移動平均線に接近し、今後の動向が注目される。市場ではFRBの25bp利下げが確実視されており、すでに織り込み済みとの見方もある。焦点はFOMCの金利見通し(ドット・プロット)に移っており、年内3回の利下げ予想が市場の期待と一致すれば、「噂で売って、事実で買う」展開から一時的なドル高の可能性が指摘されている。ユーロドルは1.18ドル台後半まで上昇し、2021年9月以来の高値を更新。ユーロ円も173円台後半に上昇した。米欧の金融政策差縮小見通しがユーロを押し上げ、1.20ドルも視野に入ってきた。ポンドは対ドルでは買われたものの、対円・ユーロでは軟調な展開。ポンド円は200円を割り込んだ。しかし、英国の財政状況への懸念は過剰評価されており、英中銀の追加利下げ観測も後退していることから、ポンドの底堅さを指摘する声も出ている。
(17日)
東京市場は、ドル売り先行も一服している。ドル円は朝方146.21付近まで下落したが、その後は下げ一服。午前中に146.61付近に買われたあとは、午後は146.40~146.60付近で揉み合った。米FOMCを控えて、ドル安進行は警戒されつつも、値動きは抑制された。ユーロ円は朝に173.85付近まで上昇したものの、ドル円の下落とともに173.58付近まで下押しされた後、揉み合い狭いレンジでのが続いた。ポンド円は200円割れでスタートし、199.70付近での買いと200円超えでの売りが混在。ユーロドルは1.1873付近まで上昇後、1.1850付近で推移。ポンドドルは1.3659付近を高値に1.3637付近まで一時下落した。全体的にドル安の影響を受けつつも、主要通貨はレンジ内での揉み合いが続いている状況だ。
ロンドン市場は、米FOMC発表を控えて、まちまちの値動き。ドルが買い戻される一方で、円買いも入っている。ユーロが軟調な動き。ドル円は東京市場から引き続き146円台での振幅。ロンドン時間は上値重く推移している。ユーロ相場は軟調。ユーロドルは東京朝方に1.18台後半まで買われたあとは、ポジション調整の売りに押されて1.18台前半へと下げている。ユーロは対円や対ポンドでも軟調。ユーロ円は173円台後半から173円付近へと軟化している。一方、ポンドドルは1.36台前半から半ばでの揉み合い。前日終値を挟んで目立った方向性をみせていない。ポンド円は200円付近から199円台半ばへと小安い。対ユーロではポンドは堅調。この日発表された英国とユーロ圏のCPIの水準差が注目される面もあったようだ。英CPIが前年比+3.8%と高止まりする一方で、ユーロ圏CPI確報値は前年比+2.0%とわずかに下方改定された。
NY市場では、米FOMCをめぐって乱高下の展開だった。ドル円はドット・プロット公表後、年内2回の利下げ見通しが示されハト派的との解釈から一時145円台半ばまで急落し、100日線を割り込んだ。しかし、その後のパウエル議長会見では「利下げ再開は景気下振れリスクへの保険であり、景気の基調はなお堅調」との姿勢を示唆。過度な利下げ期待が後退し、ドル買いが優勢となった。ドル円は146円台後半から147円台に反発し、結果的に100日線が下値サポートとして意識された。ユーロドルは1.19台に上昇後1.18前半へ反落、ユーロ円は173円台を回復。ポンドは対ドルで1.37台に一時上げた後に1.36台前半へと反落した。一方で、ポンド円は200円台を回復。カナダ中銀も利下げを再開したが、声明では利下げに関するガイダンスを削除したことなどで、カナダドルの反応は限定的にとどまった。
(18日)
東京市場は、ドル買いが優勢。前日の米FOMC後のドル買いの流れを受けて取引を開始した。ドル円は147円を挟んで売買が交錯した後、午後に入ると再び買いが強まり、高値を147.50付近へと伸ばしている。改めてドルが買われたほか、日経平均の力強い動きも、リスク選好の円売りにつながった。ドル高の動きに、ユーロドルは1.18台割れから1.1780付近へと下押し、ポンドドルも1.3630付近から1.3580台へと下落している。ただ、米債利回りは上昇一服となっている。円売りとともにクリス円が堅調に推移。ユーロ円は173円台後半から174円手前水準へ、ポンド円は200円付近から200.50付近へと水準を上げている。
ロンドン市場は、やや円安とドル安の動き。注目の英中銀政策金利は7対2での据え置き。QT減額ペースは700億ポンドと市場予想と一致した。声明文は利下げは段階的かつ慎重に行う必要と従来通りの内容だった。大きな波乱は見られず通過している。ポンド相場は一瞬買いの反応もすぐに値を戻している。全般的にはロンドン市場は円安とドル安が優勢に推移している。ドル円は147円台半ばへと買われたあと、147円台前半で揉み合っている。クロス円は堅調。ユーロ円は173円台後半から174円台半ばまで上昇。ポンド円は200円台半ばから201円台半ば付近まで買われた。ドル相場はドル買いからドル売りに転じている。ユーロドルは1.17台後半まで下げたあと、1.18台半ばへと高値を伸ばしている。ポンドドルは1.35台後半に下落したあとは上昇に転じている。英中銀発表直後に1.36台半ば超えまで買われたあとは1.36台前半へと押し戻されている。米FOMC後のポジション調整と今後の米連続利下げへの思惑が交錯している。株式市場は欧州・米株先ともに堅調に推移している。
NY市場では、ドル高が進行。ドル円は一時148円台に上昇した。米国の新規失業保険申請件数が雇用の底堅さを示したことや、日米ともに高値更新と株式市場が堅調だったこがドル円を押し上げた。明日には日銀金融政策決定会合が控えており、政策金利の据え置きが確実視されている。植田総裁が早期利上げに慎重な姿勢を示した場合、円売りがさらに加速する可能性が指摘されている。また、高市氏が自民党総裁選への立候補を表明したことも円安を誘発した。一方、FRBは前日に利下げを再開。市場では来年夏までに計1.00%以上の追加利下げが織り込まれている。ユーロドルは一時上昇後、1.17ドル台に下落。ユーロ円は円安に支えられ、昨年7月以来の高値圏で推移した。ポンドドルは売りが強まり、一時1.3535付近まで下落。英中銀は政策金利を据え置き、ベイリー総裁は追加利下げに慎重な姿勢を示した。ポンド円は年初来高値を更新したあと200円台半ばで伸び悩んだ。
(19日)
東京市場では、ドル円が148円前後から147.20付近まで円高・ドル安に動いた。日銀金融政策決定会合で政策金利の据え置きが決定されたが、高田委員と田村委員が維持に反対票を投じたことが円買いにつながった。高田委員は、物価安定目標がほぼ達成されたとし、田村委員は、物価上振れリスクを考慮して、それぞれ利上げを主張した。また、日銀が年間3300億円規模のETF売却を決定したことも、円買いの要因となった。日銀は現在、76兆円相当のETFを保有している。市場には植田総裁が10月の追加利上げを示唆するとの観測も強まり、円は全面高となった。これにより、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円などのクロス円もそれぞれ下落した。
ロンドン市場は、ポンド売りが優勢。8月の英公共部門純借入額(財政赤字に相当)が予想を上回り、財政悪化懸念が強まった。英国債売りとともにポンドが売られている。ポンドドルは1.35台割れへ、ポンド円は200円を下回る水準で上値重く推移。対ユーロでもポンドは軟調。ユーロドルも1.17台後半から半ばへと軟化している。きょうのドル円相場は、日銀決定会合をめぐって下に往って来い。東京昼過ぎに日銀は政策金利据え置きを発表した。7対2での決定で、2名の委員が利上げを主張し、否決された。さらに、ETFの売却も発表。市場はサプライズ的に円買いの反応を広げた経緯がある。147円台前半まで下押しされたあと、植田日銀総裁会見を迎えた。植田総裁からは市場で期待された10月利上げについての具体的な示唆はみられず、ドル円は148円付近まで買い戻された。週央の米FOMC以降はドル買い戻しの流れが続いている。
NY市場は、ロンドン市場の流れが継続し、ドル円はNY朝に148.28レベルと今週の高値を更新する動きを見せた。その後調整が入ると、昼前から引けにかけて147.80-148.00レンジと動意に欠ける展開となった。日米金融政策会合などをこなした後、週末を前に積極的な動きが見られず。ユーロドルは1.1729レベルまでユーロ安・ドル高も、その後少し戻してもみ合った。ロンドン市場で8月の英公共部門純借入額(財政赤字に相当)の拡大を受けて下げたポンドドルは1.3500が重くなり、安値更新はならずも上値の重い展開。ユーロ円は173円台後半で勢いの無いもみ合い。ポンド円は、ポンドの対ドルでの下げもあり、199.22レベルに安値を更新した。

執筆者 : MINKABU PRESS
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