FX/為替「ドル/円今日の予想」 外為どっとコム トゥデイ 2025年10月30日号

主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年10月30日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
目次
▼29日(水)の為替相場
(1):米財務長官のSNS投稿受け、一時円買い
(2):豪四半期CPI伸びが加速
(3):FOMCが2回連続で利下げ
(4):FRB議長発言で12月利下げ観測後退
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:円安が進む可能性/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
29日(水)の為替相場

期間:29日(水)午前6時10分~30日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):米財務長官のSNS投稿受け、一時円買い
米国のベッセント財務長官は「日本政府が日銀に政策余地を与えることは、インフレ期待の安定や過度な為替変動を防ぐカギになる」とSNSに投稿。これを受けて円が買われる場面もあった。ただ、発言が前日の米財務省声明と同内容で新味に乏しかった上に、本邦金利市場で日銀の利上げを織り込む動きが進まなかったことから、円は買い一巡後に売り戻された。
(2):豪四半期CPI伸びが加速
豪7-9月期消費者物価指数(CPI)は前年比+3.2%と市場予想(+3.0%)を上回り、4-6月期の+2.1%から伸びが加速。コアCPIに相当し、豪中銀(RBA)が重視するCPIトリム平均値も前年比+3.0%に加速した(4-6月期+2.7%)。これを受けてRBAによる年内の利下げ観測が後退したことから豪ドルが上昇した。
(3):FRB、2会合連続で0.25%利下げ
米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を4.25-4.00%から4.00-3.75%へと25bp(0.25%ポイント)引き下げた。声明では「最近数カ月で雇用の下振れリスクが高まった」と指摘し警戒感を滲ませた。25bpの利下げは10人のメンバーの賛成による決定で、ミラン理事が50bpの利下げを主張し、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁が据え置きを主張してそれぞれ反対票を投じたことも明らかになった。今回のFOMCでは、量的引き締め(QT)と呼ばれるバランスシートの圧縮を12月1日で終了することも合わせて決定した。
(4):FRB議長発言で12月利下げ観測後退
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の会見で「入手可能なデータによると、労働市場は徐々に冷え込んでおり、インフレは依然として高い状況にある」と発言。その上で、「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」、「不確実性が非常に高い状況下では、今後の動きについて慎重な姿勢が求められる」と述べて12月の追加利下げを9割方織り込んでいた市場をけん制した。これを受けて米長期金利が上昇するとともにドルを買う動きが優勢となった。
29日(水)の株・債券・商品市場

ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)

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人気通貨ペア 本日の予想レンジ

ドル/円の見通し:今月付けた約8カ月ぶり高値を超える可能性も
昨日のドル/円は終値ベースで約0.4%上昇。ベッセント米財務長官が日銀による利上げの必要性に言及したことで151円台半ばへと下落する場面もあったが円買いは一時的だった。注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、予想通りに25bp(0.25%ポイント)の利下げを決めたが、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)が会見で次回12月会合における利下げについて「既定路線とは程遠い」と発言したことを受けて153.06円前後までドルが買われた。
本日は日銀の金融政策発表と植田総裁の会見に注目が集まっている。日銀はトランプ関税や高市新政権が講じる経済政策の影響を見きわめようと、今回も政策金利を0.50%に据え置く可能性が高い。しかし、一部の短期金利が0.75%への利上げを10%強織り込むなど、市場はサプライズ利上げの可能性を捨てきれていないようだ。したがって、日銀の政策金利据え置きで円が売られる展開も十分にあり得るだろう。大方の予想通りに政策金利が据え置かれた場合、植田総裁が次回12月会合における利上げに前向きな姿勢を示さない限り、円買いが強まることは考えにくい。本日のドル/円は今月10日に付けた約8カ月ぶり高値の153.27円前後を超えて円安が進む可能性があると見ている。
注目の経済指標:日銀金融政策決定会合

注目のイベント:日銀総裁講演
※時間は日本時間での表示になります。
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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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