ドル円、前日の急速な上げ一服も154円台での推移継続=NY為替概況
ドル円、前日の急速な上げ一服も154円台での推移継続=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は前日の急速な上げは一服しているものの、154円台での推移は継続した。前日は10月上旬に高市トレードで付けた高値を一気に上抜け、154円台に上昇。再び155円台を視野に入れている。
本日も状況に変化はない。FOMC、日銀決定会合と2つのイベントを通過して、日米金利差の縮小は想定よりも緩やかとの観測から、円キャリートレード加速への期待感が高まっている。個人投資家や投機筋が下値で買っているようだ。テクニカル勢も買わざるを得ない状態。
本日は円安以上にドル高の面も強かった。今週のFOMCを通過して、市場はFRBの利下げ観測を後退させているが、本日はFOMC委員からの発言が複数伝わっていた。利下げに慎重な意見が多く聞かれ、今年投票権のない委員からは、自身は今週の利下げを支持していないといった声も出ていた。短期金融市場ではいまのところ60%程度の確率で12月利下げを織り込んでいる状況。FOMC前の完全織り込みからは、だいぶ後退している。
市場の一部からは年末までに160円との声も出始めているが、155円を突破してくると介入の声もそろそろ出始めて来そうだ。介入は円と同時にドルも触ることになることから、米国の暗黙の了解が必要とも言われている。
前回のイエレン前財務長官は比較的柔和な感じではあったが、今回のベッセント財務長官はうるさそうだ。
ユーロドルは下値模索が続き、1.15ドル台前半まで下落。今月前半に強いサポートとなっていた1.15ドル台半ばの水準もブレイクしており、下向きの流れを強めている。一方、本日はユーロ円も売りが強まり、177円台半ばまで下落。ユーロ円は高値を更新していたが、さすがに過熱感も出ており、重要イベントを通過した月末ということで利益確定売りが優勢になったようだ。
ユーロドルはドルの動きに左右されている面が大きい。今週のFOMCを受けてドルが買い戻されている半面、前日のECB理事会は予想通りの据え置きとなり、今後の方針についても明確なシグナルをほとんど示さなかった。市場では、1.15ドルを下回る可能性も取り沙汰されているが、アナリストは、米雇用指標のさらなる弱含みを考慮すれば、その可能性は低いと指摘している。また、ユーロ圏経済も僅かではあるが、改善の兆しが見られるとも付け加えた。
ポンドドルはNY時間に入って下げ渋ったものの、一時1.30ドル台まで下落する場面も見られ、200日線を下放れる展開が加速。今年1月の年初来安値から7月の年初来高値までの上昇波のフィボナッチ38.2%が1.3145ドル付近に来ている。この水準を完全にブレイクするようであれば、上記フィボナッチの50%戻しの1.2945ドルまでの下落の可能性も視野に入る展開。
一方、ポンド円は201円台まで下落していたものの、202円台半ばまで買い戻されている。
市場は来週の英中銀の金融政策委員会(MPC)に注目している。据え置きが有力視されているものの、複数から利下げの可能性も指摘されている状況。短期金融市場での利下げの確率は30%程度だが、市場の予想通りに据え置いたとしても、委員の投票が拮抗するなど、12月の利下げ期待が高まるような内容となれば、ポンドにとってはマイナス材料となりそうだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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