【これからの見通し】ドル高と円高の動き、中東情勢にらんで ポンドは英中銀会合に注目
【これからの見通し】ドル高と円高の動き、中東情勢にらんで ポンドは英中銀会合に注目
今週はドル買いが優勢になっている。ドル指数は10日線を上回り、21日線を試す動きとなっている。イスラエルとイランの紛争が激しさを増すなかで、米国が週末にもイラン核施設を攻撃する可能性が取り沙汰されている。いわゆるリスク警戒のドル買い圧力が支配的となっている。また、昨日の米FOMCでは政策金利が据え置かれるとともに、スタッフ金利予測も年内あと2回の利下げ予測と変化はみられなかった。ただ、金利予測には年内1回利下げや据え置き継続など、見方が分かれていることも示された。ドル買いに作用したのが、パウエル議長会見の内容だった。関税のインフレに対する影響が警戒され、市場では当面の利下げ観測が封印される格好となった。リスク警戒とパウエル発言がドル高につながっていた。
また、足元では円高の動きも散見されてきている。きょうは、ユーロドルはポンドドル、豪ドル/ドルなど大半の通貨ペアがドル高方向に傾斜している。そのなかでドル円は売りが先行後に戻す値動きで、足元ではほぼ前日NY終値付近に戻す動きにとどまっている。クロス円が総じて軟調に推移している。
ただ、市場には米国がイランに直接攻撃を行うのか、固唾をのんで待っている状況。じわじわとドル高や円高が進行するものの、パニック的な値動きにはなっていない。この後の海外市場では米国市場が奴隷解放記念日(ジューンティーンス)祝日のため休場となる。ロンドン市場での各中銀金融政策発表を通過したあとは、ドル・円ともに動きにくい状況となりそうだ。
ロンドン市場ではスイス中銀、英中銀、ノルウェー中銀、トルコ中銀などが金融政策を発表する。まず、スイス中銀については、市場は25bpの利下げで政策金利が0.00%に引き下げることを予想している。今後、マイナス金利領域に入ることが示唆される可能性があり、金利面からはスイスフランの売り圧力が掛かりそうだ。しかし、中東情勢の緊迫化を受けて逃避通貨としてフランが買われやすい面もあり、売り反応がみられても一時的にとどまる可能性がありそうだ。
英中銀は政策金利が4.25%に据え置かれる見方が有力になっている。ただ、市場では年内あと2回程度の利下げを見込んでいる状況だ。最近発表された英雇用統計やGDPなどが予想以上に弱い結果となったことが、景気サポートのための利下げ圧力となっている。今回はスーパーサーズデーではなく、経済予測は発表されない。注目は9名の票割れとなろう。前回の利下げは「メンバー5人が25bp引き下げ、2人が50bp引き下げ、2人が据え置き」と見方が3つに分かれた。今回の票割れはどうか。
発言イベント関連では、スイス中銀金融政策発表後にシュレーゲル・スイス中銀総裁が記者会見を行う。ラガルドECB総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、ナーゲル独連銀総裁、デギンドスECB副総裁などの講演や会議出席が予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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