ドル円、再び150円を割り込む 米経済指標が懸念を強める=NY為替概況
ドル円、再び150円を割り込む 米経済指標が懸念を強める=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りが強まり、再び150円を割り込んだ。この日発表の米経済指標が市場の懸念を強めている。PCEとミシガン大消費者信頼感指数の確報値が発表になっていたが、米消費者の先行き不安とインフレ警戒を示唆していた。
2月のPCEはFRBが参照しているPCE価格指数がコアが前月比0.4%、前年比2.8%と予想をやや上回った。一方、個人消費支出は1月に悪天候で大幅な減少となった反動もあって0.4%上昇となったが、インフレ調整後の実質では0.1%の上昇に留まった。
一方、ミシガン大消費者信頼感指数が全体指数が下方修正された一方、インフレ期待が上方修正された。インフレ期待については、速報値が想定外に強い内容でサプライズとなっていたが、確報値でさらに上振れた格好。
両指標とも、市場に広がっている先行きへの不安とインフレおよびインフレ期待の粘着がさらに強調された内容ではあった。米株式市場も大幅安となる中、為替市場ではリスク回避の円高が強まり、150円を割り込んだ。
ユーロドルは1.08ドル台に買い戻された。週後半に下げ止まり、1.07ドル台前半に来ている200日線でサポートされた格好となった。来週は4月相場に入って、トランプ関税の発表など重要イベントが目白押しの週となりそうだが、ユーロドルは上げトレンドを維持できるか注目される。
本日は3月のドイツ雇用統計が公表されていたが、労働市場はさらに冷え込み、状況はさらに悪化する可能性が示唆されている。失業率は2月の6.2%から6.3%に上昇し、失業者数は2万6000人急増した。特に製造業では米国の貿易政策がドイツの主要産業に及ぼす影響により、雇用喪失が続く可能性があるとの指摘も出ている。
ドルとともにポンドも軟調で、ポンドドルは1.29ドル台での上下動に終始した。本日は第4四半期の英GDP確報値が公表され、年末の英経済が低迷していたことを裏付けるものとなった。ただ、この日発表の2月の英小売売上高は1月同様に予想外の強さを見せた。2025年の第1四半期は個人消費が英景気を支える可能性もあるとの指摘もエコノミストから出ている。
高い貯蓄率がGDPの伸びを抑制し続けているが、小売売上高の数字からは、家計がより自由に消費し始めている可能性があるという。一方、増税、世界的な不確実性の高まり、消費マインドの低迷という重荷に苦しむ経済の全体像は依然として変わっていないとも述べている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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