ドル円、144円付近で上下動 月末で調整中心 米中が再び流動的になりそうな気配も=NY為替概況
ドル円、144円付近で上下動 月末で調整中心 米中が再び流動的になりそうな気配も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、本日は月末ということもあり、調整中心の動きに終始し、ドル円も144円付近での上下動に終始している。NY時間に入ってトランプ大統領の投稿が伝わり、市場の雰囲気が再び悪化。ドル円も143円台半ばまで売られる場面が見られたが、戻している。
大統領は「中国が米との合意を破った。いい人を装うのはここまでだ」と語っていた。また、トランプ政権が新たな規制を導入し、中国のハイテク業界に対する制限を拡大する計画だとも伝わっていた。ただ、習主席と協議をする意向も示していた。
米中協議の進展への期待がこのところの市場の落ち着きを支えていただけに、上記のニュースは気掛かり。米中貿易戦争が再び流動化しそうな気配も出ているが、本日は月末ということもあり、調整中心の値動きに終始していたようだ。
この日はFRBが注目しているインフレ指標である4月のPCE価格指数が発表になっていたが、インフレの鈍化が示されていた。ただ、市場は年内に2回の利下げを織り込んでいるが、その動きに変化はない。
来週から6月相場に入るが、ドルの弱気見通しと、円の強気見通しに変化はなさそうだ。本日は5月調査分の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が公表されていたが、インフレ圧力が依然として高水準にあることが示され、最近の円高が物価上昇を抑制する効果がほとんど発揮されていないことを示していた。
円は対ドルで年初から約9%上昇しているが、貿易加重の実効為替レート(名目)はその約半分の上昇に留まっており、さらなる上昇余地が残されているとの指摘も出ている。実効為替レートは2024年7月の直近安値から比較しても僅か9%程度の上昇に留まっている現状では、円高が進んでも日本の対外競争力を脅かすことはない。これは日銀に柔軟性を与え、一部からは日銀が7月の決定会合で利上げとの予想も出ている。ただし、日銀の慎重姿勢を考慮すると、事前に明確に示唆する可能性は低いという。
きょうの市場は全体的に静かな値動きとなる中、ユーロドルは緩やかな戻り売りに押されている。本日の21日線は1.1275ドル付近に来ていたが、その水準を試す動きまではなく、21日線を上をしっかりと維持している。
来週はECB理事会が開催され、0.25%ポイントの利下げが確実視されている。市場は来週を含めて年内あと2回の利下げを見込んでいるがエコノミストは、利下げの間隔が空き過ぎると市場が緩和終了と誤解する恐れがあり、6月の後は9月ならば米通商政策の影響を評価するための猶予期間をECBは持ていると述べてる。
ポンドドルは1.3450-1.35ドルの間で、方向感なく上下動。エコノミストは、インフレ圧力により英中銀は年内の残りの期間、金利を現行の4.25%に据え置く可能性があると指摘している。4月から始まった企業の国民保険負担の増加と賃金上昇は企業のコスト増につながり、インフレ上昇に繋がる可能性が高いという。
現在、短期金融市場では11月の利下げを織り込んでいるほか、若干ではあるが12月も2度目の利下げの可能性を織り込んでいる状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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