FX/為替「ドル/円、関税合戦と米景気後退懸念で方向感がつかみにくい」 外為どっとコム トゥデイ 2025年3月13日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年3月13日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼12日(水)の為替相場
(1):トランプ関税発動 貿易戦争へ
(2):ECB総裁「機敏さが必要」
(3):米CPIは予想を下回る
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:レンジ内で次の材料を見定める/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
12日(水)の為替相場
期間:12日(水)午前6時10分~13日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):トランプ関税発動 貿易戦争へ
トランプ米政権は全ての国から輸入される鉄鋼とアルミニウム製品に対して25%の関税を発動。その後、欧州連合(EU)は対抗策として260億ユーロ相当の米国からの輸入品に来月から関税を課すと発表。カナダも298億カナダドル相当の米国製品に25%の関税を13日の米東部時間0時1分(日本時間13日13時1分)に発動すると発表した。トランプ大統領はEUの対抗措置について「もちろん対応するつもりだ」と述べたが、具体的な内容については明言しなかった。
(2):ECB総裁「機敏さが必要」
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は世界の貿易戦争と欧州の防衛体制を巡る急激な変化がECBの物価を安定させる仕事を難しくするだろうとの見解を示した。その上で、「どのようなショックに対して金融政策による対応が必要となるかを分析する能力と適切に対応する機敏さが必要となる」と語った。
(3):米CPIは予想を下回る
米2月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.8%と市場予想(+2.9%)以上に前回(+3.0%)から減速。前月比も+0.2%と市場予想(+0.3%)を下回った。また、エネルギーや食品を除いたコアCPIも前年比+3.1%、前月比+0.2%と市場予想(+3.2%、+0.3%)を下回った。ドル/円は一時148円台前半へ急落したが、米長期金利が即座に持ち直したことから一転して149円台へと上昇した。
12日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:レンジ内で次の材料を見定める
昨日のドル/円は終値ベースで約0.4%上昇。日本や欧州の株価指数の上昇を背景に一時149.20円前後まで上昇したが、世界的な貿易戦争への懸念が高まる中で上げ幅を縮めた。なお、この日発表された米2月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.8%となり、市場の予想以上に前月からインフレの伸びが鈍化していた。 トランプ米政権の関税発動を受けて、欧州連合(EU)やカナダが対抗策を発表。これにトランプ大統領はさらなる報復措置を示唆するなど関税合戦が激化している。貿易戦争への警戒感がくすぶる中、ドルは対ユーロやカナダドルでは買われやすいとみるが、米国の景気減速懸念などを背景に対円では上値が重そうだ。ドル/円は今週に入り上下に長いヒゲが出現しているように148円台後半から149円台にかけては上値が抑えられやすく、147円台前半から146円台では下値が支えられやすい。当面はこのレンジ内で次の材料を見定めることになりそうだ。材料面では本日、米2月生産者物価指数(PPI)が発表される。
注目の経済指標:米2月PPI
注目のイベント:米債入札
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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