ドル円、下に往って来い 一時148円台前半まで急落 円の逃避買いが続く=NY為替概況
ドル円、下に往って来い 一時148円台前半まで急落 円の逃避買いが続く=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は下に往って来いの展開となった。本日も市場はリスク回避の雰囲気が広がり、ドル円は一時148円台前半まで急落する場面が見られたが、終盤に序盤の下げを取り戻し、一時149円台半ばまで買い戻される場面が見られた。
トランプ関税の発動とそれに対する各国の報復措置、そして最近の相次ぐ弱い米経済指標で、市場には先行き不透明感が広がっている。ただ、為替市場はリスク回避の円高は強まる一方、ドルはこれまでとは違い、売りが優勢になっている状況。
ストラテジストからは、世界の市場が新たな地政学的秩序に適応するのに伴い、ドルは逃避先としての地位を失う可能性があるとの指摘が出ている。「世界的なシフトのスピードと規模があまりに急速なため、可能性として認識する必要はある」と述べている。また、「世界経済および地政学的関係において、数日単位で起きている変化の規模を過大評価するのは難しい」とも続けた。
トランプ政権は主要貿易相手国に対する関税賦課に踏み切ったが、ドルは本日も下落。従来は関税措置はドルを押し上げる可能性が高いと概ね見られていた。ただ、短期金融市場ではFRBの年内3回の利下げ期待が復活するなど、関税はインフレもさることながら、米景気そのものに多大な影響を及ぼすと見ているのかもしれない。関税は個人消費を圧迫する。
ユーロドルは買い戻しが続き、1.06ドル台まで上昇。本日の上げで100日線を上抜けており、リバウンド相場に流れを加速させている。為替市場ではこれまでのドルの逃避買いは見られず、ユーロドルは上昇の反応を見せている。EUは防衛力強化に最大8000億ユーロの支出を計画しているとのニュースが流れており、ある種の景気刺激策との受け止めもあるようだ。
一部からは200日線が来ている1.07ドル台を超えて、1.08ドル台まで上昇する可能性があるとの見方も出ている。
ポンドドルは1.28ドルちょうど付近まで上げ幅を拡大し、200日線に顔合わせしている。1月中旬からのリバウンド相場を本日も維持しており、底堅いな値動きが続いている。ただ、ポンド買いというよりもドル安の動きがメインではある。
堅調なポンドドルではあるが、下値警戒感も根強い。ストラテジストはポンドのボラティリティを示す指標は先月の高値からは一旦落ち着いているものの、今月中に再び上昇するリスクがあると指摘している。
現在のボラティリティ低下は英経済指標の改善を一部反映しているが、投資家にとっては今後1カ月のボラティリティ上昇をヘッジすることが賢明だと忠告している。英経済指標、英中銀の政策決定、英予算を控えて、ボラティリティは再び上昇する可能性があるとしている。特に3月26日は予算と英インフレ指標の両方が予定されており、特に難しい日になりそうだという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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