FX/為替「ドル/円、日銀利上げ警戒で上値重い 直近レンジ下抜けには注意」 外為どっとコム トゥデイ 2025年2月20日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年2月20日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼19日(水)の為替相場
(1):日本 予想以上の貿易赤字
(2):豪賃金指数は鈍化
(3):日銀審議委員「ギアシフト」
(4):英CPI反発
(5):FOMC議事録公表
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:上値を抑える展開は本日も続く/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
19日(水)の為替相場
期間:19日(水)午前7時10分~20日(木)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本 予想以上の貿易赤字
日本1月貿易収支(通関ベース)は2兆7588億円の赤字だった(予想2兆1038億円の赤字)。例年この時期は、中国の春節の影響で日本から中国への輸出が減った一方で、春節で物流が停止する前に中国からの輸入が増える傾向にある。
(2):豪賃金指数は鈍化
豪10-12月期賃金指数は前期比+0.7%、前年比+3.2%とともに前期(+0.9%、+3.6%)から鈍化した。
(3):日銀審議委員「ギアシフト」
高田日銀審議委員は宮城県での講演で「経済・物価の見通しが実現していけば、一段のギアシフトを進める局面」との見解を示した。また長らく日本では低水準の政策金利が続いてきたことを踏まえて「中立金利の推定は困難」として、「政策金利の引き上げは、経済・物価・金融情勢への影響を検証しながら対応するといった慎重さが求められる」と述べた。
(4):英CPI反発
英1月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.0%と市場予想(+2.8%)を上回り、伸びが加速(前回+2.5%)。エネルギーや食品などを除いたコアCPIも+3.7%と予想通りに加速した(前回+3.2%)。英中銀(BOE)が重視するサービスCPIも前年比+5.0%と予想(+5.1%)こそ下回ったものの、前回(+4.4%)から大きく加速した。英中銀(BOE)の利下げペースが予想よりも緩やかになる可能性が意識されてポンドは買いで反応した。
(5):FOMC議事録公表
米連邦公開市場委員会(FOMC)は1月の議事録を公表。「最大雇用に近い状態が続くのであれば、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標に一段の調整を加える前に、インフレ抑制でさらなる進展を確認したい考えを参加者は示唆した」 「景気の強さが続き、インフレが高止まりする場合は、政策金利を景気抑制的な水準で維持することができると、多くの参加者が指摘した」ことが明らかになった。
19日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:上値を抑える展開は本日も続く
昨日のドル/円は151円台へ反落、終値ベースでは0.4%安だった。高田日銀審議委員が宮城県での講演で「経済・物価の見通しが実現していけば、一段のギアシフトを進める局面」などと発言。日銀の早期追加利上げ観測が高まったほか、欧米株が軟調に推移したことによるリスクオフの円買いもあり、一時151.25円前後まで下落した。 今朝方公表された1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、「最大雇用に近い状態が続くのであれば、金利の一段の調整の前にインフレ抑制に一段の進展を確認したい」などとする見解が示された。これまでパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長らが同様の見解を示していることから新味には乏しかった。ただ、本日発表の米新規失業保険申請件数は米2月雇用統計の集計週と同時期のものとなるため、結果にはおのずと注目が集まることになろう。米労働市場が引き続き強い状態を維持していることを示唆する内容であれば、米ドル買いで反応するだろう。一方で、明日には日本の1月全国消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想では、日銀が重視する生鮮食品を除いたコアCPIが前年比+3.1%に加速する見通しだ。追加利上げ観測がドル/円の上値を抑える展開は本日も続くと見ている。200日移動平均線が通る152.68円前後が上値目途として意識される。下値では2月に入り6回、150円台後半から151円台前半で支えられたことで同水準は強いサポートとして意識されている。その分、ここを下抜けた場合には短期勢のストップロスなどを巻き込んで売りが加速する可能性があるため注意したい。
注目の経済指標:米新規失業保険申請件数
注目のイベント:FRB高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。