FX/為替「152円付近で日銀利上げとFRB利下げ見送りの観測が交錯」 外為どっとコム トゥデイ 2025年2月19日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年2月19日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼18日(火)の為替相場
(1):FRB高官 追加利下げに慎重な姿勢
(2):RBA タカ派的利下げ
(3):英賃金 伸びが加速
(4):独ZEW 新政権への期待で上昇
(5):米大統領 自動車関税「おそらく25%近辺」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:方向感が出にくい相場展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
18日(火)の為替相場
期間:18日(火)午前7時10分~19日(水)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):FRB高官 追加利下げに慎重な姿勢
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は「昨年の場合と同様に、冬季の進展(インフレ鈍化)休止が一時的なものならば、一段の緩和策が適切になるだろう」とした上で「しかし、それが明確になるまでは金利据え置きが望ましい」と述べた。なお、その後のNY市場ではサンフランシスコ連銀のデーリー総裁も「インフレに関して、実際に進展が続いていることがわかるまでは制約的なスタンスを維持する必要がある」として、当面は利下げを見送る考えを示した。
(2):RBA タカ派的利下げ
豪中銀(RBA)は政策金利を4.35%から4.10%に引き下げた。利下げは2020年11月以来、4年3カ月ぶり。ただ、声明では「本日の政策決定はインフレに関する歓迎すべき進展を認識したものだが、理事会はさらなる政策緩和の見通しについて引き続き慎重だ」と表明した。「金融緩和が早すぎれば、ディスインフレが停滞し、インフレ率が目標レンジの中間値を超えて落ち着く可能性がある」とも指摘した。ブロック総裁はその後の会見で「本日の決定は、市場が示唆するような追加利下げが実施されることを意味するものではないことを明確にしておきたい」と強調。「RBAは、デフレの進展を妨げる可能性のある上振れリスクに非常に警戒している」と述べた。豪ドルは乱高下したものの、追加利下げを巡る思惑が後退する中で次第に買いが優勢となった。
(3):英賃金 伸びが加速
英10-12月の週平均賃金(除賞与)は前年比+5.9%と予想通りに9-11月(+5.6%)から伸びが加速。同失業率(ILO基準)は4.4%と市場予想(4.5%)を下回り9-11月から横ばいとなった。なお、英1月失業保険申請件数は2.20万件、同失業率は4.6%で、いずれも前回(-1.51万件、4.5%)からやや悪化した。
(4):独ZEW 新政権への期待で上昇
独2月ZEW景気期待指数は26.0と市場予想(20.0)を上回り、前月(10.3)から上昇した。ZEW (欧州経済センター)は「新政権に行動力があるとの期待から楽観度が高まった可能性がある」とし、「停滞状態の個人消費が向こう半年の間に勢いづくことも予想される」との見解を示した。
(5):米大統領 自動車関税「おそらく25%近辺」
トランプ米大統領は、米国に輸入される自動車への関税について「おそらく4月2日に話すことになるだろうが、25%の近辺だろう」と発言。医薬品と半導体チップの輸入関税については「25%以上になり、1年かけて大幅に引き上げられるだろう」と述べた。
18日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:方向感が出にくい相場展開
昨日のドル/円は米長期金利の上昇を背景に152円台を回復した。本邦10年債利回りは1.43%前後まで上昇して15年ぶりの高水準を付けたが、米10年債利回りが4.55%前後へと上昇する中、日米長期金利差はむしろ拡大。一時152.22円前後までドル高・円安に振れた。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事とサンフランシスコ連銀のデーリー総裁が利下げに慎重な考えをあらためて表明したほか、トランプ米大統領は自動車や医薬品に25%前後の関税を賦課する方針を示した。これらに加え、今週行われる米長期債入札への需要を巡る懸念も相まって米債利回りが上昇。
本日はNY市場で160億ドル規模の米20年債入札が予定されている。一方、東京市場では高田日銀審議委員の講演に対する注目度が高い。高田委員はタカ派と目されており、本日も追加利上げに前向きな発言を行うとの観測が強い。こうした中、本邦長期金利も上昇地合いが続きそうだ。ドル/円は日米双方の長期金利を睨んだ値動きとなりそうで、方向感が出にくい相場展開が予想される。下値のメドは151.00円および7日安値150.92円前後、上値のメドは200日移動平均線152.66円前後及び日足一目均衡表の転換線152.86円前後と見ている。
注目の経済指標:英CPI
注目のイベント:日銀審議委員発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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