円売り強まる、植田日銀総裁会見で早期利上げ観測が後退 ドル円144円台へ=ロンドン為替概況
円売り強まる、植田日銀総裁会見で早期利上げ観測が後退 ドル円144円台へ=ロンドン為替概況
ロンドン市場では、円売りが強まっている。この日の注目材料である日銀決定会合では政策金利が据え置かれた。その後の植田日銀総裁会見に注目が集まるなかで、ドル円は一時142円台割れへと軟化。植田総裁は「円安に伴う輸入物価の上振れリスクは相応に減少」「利上げ判断に時間的余裕」などと発言し、市場での早期利上げ観測が後退した。ドル円は一気に143円台後半へと買われ、さらに144円台乗せへと上伸している。クロス円でも円が全面安。ユーロ円は158円台から161円付近へ、ポンド円は189円前後から191円台後半へと上伸している。円相場主導の展開となるなかで、ユーロドルは1.11台半ばから後半、ポンドドルは1.32台後半から1.33台前半での振幅にとどまっている。ロンドン朝方に発表された8月英小売売上高が予想を上回る伸びを示したことでポンド買いの反応がみられる場面があった。ユーロ対ポンドではポンドが約2年ぶりの高値水準となった。
ドル円は144円台前半での取引。東京朝方は前日NY終値付近の142.60近辺で取引をスタート。その後は日本のCPIが上昇したことなどで円買い圧力が優勢となった。日銀決定会合の結果は大方の予想通り据え置きだった。142円台を中心に一時142円台割れまでのレンジで上下動した。日本時間午後3時半からの植田日銀総裁会見に向けて円が一段と買われて会見冒頭には141.74近辺まで下押しされた。しかし、会見中に流れが上昇に転換。植田総裁の一連の発言で市場での早期利上げ観測が後退したことに反応。143円台に乗せてからもロンドン勢は円売りを継続。144円台乗せから高値を144.40近辺まで伸ばしている。今週に入ってからの高値水準を更新した。
ユーロドルは1.11台半ばでの取引。円相場主導の展開となるなかで、1.1152から1.1182までの狭いレンジで振幅している。ユーロ円はドル円とともに上伸。ロンドン早朝に158.43近辺を安値に、ロンドン昼にかけて161円台乗せへと高値を伸ばしている。対ポンドではユーロ売りが先行も、その後は買い戻されている。
ポンドドルは1.32台後半での取引。円相場主導の展開となるなかで、方向感に欠ける振幅。1.3270近辺を安値に1.3340近辺まで買われるも、再び1.3280付近へと押し戻されている。ロンドン朝方に発表された8月英小売売上高は前月比+1.0%、前年比+2.5%といずれも前回値や市場予想を上回り、ポンド買い反応を誘う場面があった。ポンド円はドル円とともに急伸。東京市場で188.73近辺の安値をつけたあとは、買いが一気に強まっている。ロンドン昼にかけては高値を191.80付近に伸ばしてきている。ユーロポンドは売りが先行。英小売売上高の上振れに反応して一時0.8380近辺と約2年ぶりのポンド高水準をつけた。しかし、その後は0.8400付近へと戻している。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。