FX/為替「ドル/円、米CPI下振れでも下値は限定的か 38年ぶり162円台も視野」 外為どっとコム トゥデイ 2024年7月11日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年7月11日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼10日(水)の為替相場
(1):NZドルの急落につれ安する場面も
(2):ピルMPC委員「未解決の問題だ」
(3):FRB議長 下院で議会証言
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米CPI上振れは値動きが荒くなる公算/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
10日(水)の為替相場
期間:10日(水)午前6時10分~11日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):NZドルの急落につれ安する場面も
NZ中銀(RBNZ)が政策金利の据え置きと同時に発表した声明でタカ派姿勢を弱めたことからNZドルが急落。豪ドル/円はNZドル/円につれ安する場面もあったが、豪ドル/NZドルの急伸や日本株高を受けて上昇に転じた。なお、その後に発表された中国6月消費者物価指数(CPI)は前年比+0.2%と市場予想(+0.4%)を下回り、前月(+0.3%)から伸びが鈍化した。
(2):ピルMPC委員「未解決の問題だ」
英中銀(BOE)のチーフエコノミストで金融政策委員会(MPC)メンバーであるピル委員は「インフレの上振れリスクを示すいくつかの指標がある」とした上で、利下げについては「実施するかどうかではなく、いつ実施するのかの問題だ」と発言。利下げの時期は依然として「未解決の問題だ」と語った。
(3):FRB議長 下院で議会証言
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は前日の上院に続いて下院で議会証言を行った。「インフレ率の低下にある程度の自信はあるが、2%までの持続的な低下に十分自信があると言える準備はできていない」「インフレが2%に向けて持続的に低下しているという確信をさらに得たい」として、利下げを視野に入れつつも急がない姿勢をあらためて表明した。労働市場についても「大幅に軟化しており注意する必要があるが、それでも労働市場はなお堅調」と前日と同様の見解を示した。
10日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:米CPI上振れは値動きが荒くなる公算
昨日のドル/円は終値ベースで約0.3%上昇した。日米欧の株価が揃って上昇する中、低金利の円を売る動きが優勢となり161.81円前後まで上伸。今月3日に付けた38年ぶり高値(161.95円前後)に迫った。ただ、本日の米6月消費者物価指数(CPI)を前に米長期金利が小幅に低下したため高値更新を目前に伸び悩んだ。
市場は6月CPIが米連邦準備制度理事会(FRB)の9月利下げを正当化する結果になると期待しているようだ。なお、米6月CPIは前年比+3.1%と今年1月以来の水準に伸びが鈍化すると予想されており、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+3.4%と約3年ぶりの低い伸びだった前月からの横ばいが見込まれている。これらが市場予想を下回ればドルは下落する公算が大きいが、米金利先物が9月利下げをすでに8割方織り込んでいることを踏まえるとドル/円の下落余地は大きくなさそうだ。利下げ期待による株高はクロス円の堅調につながる公算が大きく、この点からもドル/円の下値は支えられるだろう。その反面、米6月CPIが期待に反して上振れした場合のサプライズは大きいものになりそうだ。ドル/円は高値更新と1986年以来の162円台乗せが現実味を帯びるが、クロス円の急落リスクが高まることになるため値動きが荒くなる公算が大きいだろう。
注目の経済指標:米6月CPI
注目のイベント:FRB高官発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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