FX/為替「ドル/円、34年ぶり高値圏も介入警戒で上値重い」 外為どっとコム トゥデイ 2024年3月28日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年3月28日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼27日(水)の為替相場
(1):豪2月CPIは横ばい
(2):田村日銀審議委員の発言受けて円売り強まる
(3):ドル/円34年振り高値更新も直後に下落
(4):財務省・金融庁・日銀が三者会合を開催
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:介入を巡る神経戦が続きそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
27日(水)の為替相場
期間:27日(水)午前6時10分~28日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪2月CPIは横ばい
豪2月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.4%と市場予想(+3.5%)に届かず、伸び率は3カ月連続で2021年11月以来の低水準にとどまった。
(2):田村日銀審議委員の発言受けて円売り強まる
田村日銀審議委員は金融政策について、「ゆっくりと、しかし着実に正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手じまいしていくために、これからの金融政策の手綱さばきは極めて重要だ」と述べた。現時点の経済・物価見通しを前提にすれば「当面緩和的な金融環境が継続する」とも語った。日銀内で最もタカ派と見られる田村委員の発言が、追加利上げを急がない姿勢を示したものと受け止められたことで円売りが優勢となった。
(3):ドル/円34年振り高値更新も直後に下落
ドル/円が151.97円前後まで上伸して1990年7月以来、約34年ぶりの高値を付けた直後に、鈴木財務相は「(円相場について)高い緊張感をもって見ている」「行き過ぎた動きにあらゆる手段を排除せず『断固たる措置』をとる」などと発言。円安けん制のトーンが一段上がったとの見方から円を買い戻す動きが見られた。
(4):財務省・金融庁・日銀が三者会合を開催
財務省、金融庁、日銀は国際金融資本市場に関する情報交換会合(三者会合)を開くと発表。数時間前に財務省の神田財務官が「三者会合の予定はない」と述べていただけに、市場は円買い介入への警戒感を一段と強め、円を買い戻す動きが再び強まった。なお、会合後に神田財務官が会見し「行きすぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」「政府・日銀として意思疎通を密にはかり対応に万全を期す。異変に対応する準備はある」と語った。円買い介入の考えについて問われ「文字通りあらゆる手段を排除しない」と強調した。
27日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:介入を巡る神経戦が続きそう
昨日のドル/円は終値ベースで約0.2%下落。日銀の田村審議委員が追加利上げを急がない姿勢を示したことをきっかけに151.97円前後まで上昇して1990年7月以来、約34年ぶりの高値を付けた。しかしその後は、鈴木財務相や神田財務官が円安を強くけん制したことで円買い介入への警戒感が高まると一時151.00円台まで下落するなど、神経質な展開となった。
本日も円買い介入を巡る市場と本邦当局の神経戦が続きそうだ。市場には1ドル152円の水準は当局の防衛ラインとの見方も出ていることから、この水準に接近すれば介入への警戒感が再び高まると見られる。海外勢としても、明日からのイースター休暇を前に無理な買い仕掛けには動きにくいタイミングだろう。本日のドル/円は151円台後半の上値が重い展開が続くと予想される。一方で、日米金利差などの観点から下値も堅そうで150円台はサポートされよう。注目材料は日銀金融政策決定会合の主な意見(3月18-19日分)や米10-12月国内総生産(GDP)・確定値および米新規失業保険申請件数だ。
注目の経済指標:米新規失業保険申請件数
注目のイベント:欧州要人発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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