ドル円は一時148円半ばまで上げ幅拡大 FRBの早期利下げ期待が後退=NY為替概況
ドル円は一時148円半ばまで上げ幅拡大 FRBの早期利下げ期待が後退=NY為替概況
きょうもNY為替市場でドル円は上値追いが続き、一時148円半ばまで上げ幅を広げた。この日発表の12月の米小売売上高が予想を上回る内容となったこともあり、米国債利回りの上昇と伴にドル円も上げ幅を拡大した。
市場ではFRBの早期利下げ期待が後退しており、短期金融市場での3月までの利下げ開始確率は一時50%に接近する場面も見られた。エコノミストなどからは3月利下げ開始は行き過ぎとの声も多かったが、市場も改めて認識し始めているようだ。結局、確率は58%程度まで戻している
148円付近にはオプション勢の防戦売りも観測されていたが、その水準を突破して150円を試しに行きそうな気配が見られている。今年に入ってドル円は急ピッチに上昇しており、財務省の口先介入への警戒感も再度高まりそうな雰囲気ではあるが、オプション市場ではボラティリティがまだ落ち着いており、過度な変動と言えそうな状況にはまだない。
きょうのユーロドルは下げ渋ったものの、買い戻しの機運も高まらず、1.08ドル台での推移を続けている。本日の200日線が1.0850ドル付近に来ており、その水準に顔合わせしたものの、きょうのところはサポートされている状況。
きょうはラガルドECB総裁のダボスでのインタビューが伝わり、間接的ながら、ECBがこの夏に利下げに踏み切るとの見方を示唆する発言を行っていた。総裁はECB理事の多くが夏までに利下げを実施すると発言していることについて、「何人かと話をしたでしょうし、それぞれの意見を私は尊重している」と述べた。また、「そうだ、可能性は高いと言うのが彼らの役目だし、私も可能性は高いと言うでしょう。ただ、慎重である必要がある。データに依存するとも述べているし、まだ一定の不確実性があり、一部の指標はわれわれが望む水準で安定していないからだ」と語っていた。
市場は、FRBの3月利下げの可能性を大きく後退させているが、ECBについても3月利下げの可能性は大きく後退させている。利下げ開始は4月との見方を有力視している状況。FRBは5月が有力になりつつあるようだ。
ポンドドルは買い戻しが出て、1.26ドル台後半まで戻した。ロンドン時間の早朝には1.25ドル台まで下落していたが、この日発表の英消費者物価指数(CPI)を受けて、ポンドは買い戻しが強まった。英CPIは前年比4.0%、前月比0.4%上昇と予想を上回る結果となった。サービスインフレも6.4%に上昇しており、当面は高止まりする可能性が高く、少なくとも3月までは6%を下回ることはないとの見方も出ている。
前日の賃金上昇率も相まって、本日の数字は英中銀の早期利下げ期待を正当化していないようだ。市場の一部からは、英中銀は自らのガイダンスに沿って、1月に物価が再び下がらなければ、利上げを行う必要があるとの声まで出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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