ドル円は146円台まで回復 今週の重要イベント待ち=NY為替概況
ドル円は146円台まで回復 今週の重要イベント待ち=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は146円台まで回復。先週は、日銀の植田総裁や氷見野副総裁の発言で早期のマイナス金利解除への思惑が高まり一時141円台まで急落していた。ただ、先週末に発表になった米雇用統計が予想を上回ったことや、「マイナス金利やイールドカーブコントロール(YCC)撤廃などを急ぐ必要はほとんどない」といった日銀関係者のコメントが伝わったこともあり、市場は冷静になっている。
来週の日銀会合でのマイナス金利解除はほぼ無いと見られており、先週の行き過ぎた動きは修正されていた模様。しかし、テクニカル的には下向きのサインが完全に点灯しており、FRBの利下げ期待も根強いことから、150円まで戻そうという気配まではない。依然として意識は下向きにある模様。今週は重要イベントが多く、13日水曜日のFOMCの結果発表の前に、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)の発表が予定されている。それに対して市場がどう反応するか見極めたい雰囲気が強いようだ。
今回は委員の金利見通し(ドット・プロット)も公表され、市場も注目している。9月時点の24年末予想の中央値は5.125%(5.00-5.25%示唆)だった。9月時点では今年にあと1回の利上げを予想していたことから、来年は2回利下げがあると予想していたことになる。利下げ予想を示す可能性はあるものの、市場が期待しているような積極利下げは予想してこないとも思われる。
ただし、その場合でも、FRBと見方を異にしている市場がどの程度反応するかは未知数。短期金融市場では来年末までに計1.00%の利下げを織り込んでいる。FRBがスタンスを変えなかったとしても、恐らく市場もスタンスを変えないのではとの指摘も少なくない。先週末の予想を上回る米雇用統計でさえも、さほど強いドル買いは見られなかった。
ユーロドルは緩やかな戻り売りに押され、1.07ドル台半ばの推移。きょうの下げでローソク足は100日線の下に出ており、10月からのリバウンド相場の戻りが続いている。フィボナッチ半値戻しが1.0735ドル付近に来ているが、目先の下値メドとして意識される。
今週はECB理事会も開催されるが、据え置きが確実視されている。声明やラガルド総裁の会見に注目が集まっており、市場は来年の利下げ期待に対するヒントを探りたがっている。市場は4月の利下げ開始を完全に織り込んでおり、3月も60%の確率で織り込んでいる。しかし、一部からはECBは来年の夏まで利下げを開始しないとの見方も出ている。ユーロ圏消費者物価指数(HICP)の総合指数は2%台まで低下しているが、コア指数は3.6%となおインフレ目標を大きく上回っており、消費者物価の上昇は早ければ今月にも再び加速すると見られている。
エネルギー部門における昨年のベース効果と政治的な救済措置の終了が理由で、例えばドイツでは1月から飲食店・ケータリング業(飲料は除く)部門の付加価値税の軽減税率が終了し、再び19%に引き上げられる。さらに、大幅な賃上げが消費者物価の動向にどの程度影響を与えるかを確実に評価するには、さらなるデータが必要であるとも述べている。
ポンドドルはロンドン時間に1.25ドル台後半に上昇していたものの、NY時間にかけて1.25ドル台半ばに伸び悩んでいる。全体的に方向感はなく、今週の英中銀金融政策委員会(MPC)待ちの雰囲気も強い。英中銀は今週のMPCで3会合連続で金利を据え置くと見られている。しかし、FRBやECBと違い、一部の委員は利上げを主張すると見られているようだ。英労働市場はなお堅調を維持しており、高い賃金上昇がインフレをけん引し続けていることが背景にあるようだ。
明日は英雇用統計が発表される。英統計局は雇用統計について、回答率低下によりデータの不確実性が高まったとし、労働力調査(LFS)の抜本的な見直しを行っている。1月分の調査からより完全なLFSベースのデータセットを公表する予定としており、明日発表の8-10月分の雇用統計は10月と11月に発表されたのと同じベースで作成されたものだという。
市場予想ではILO失業率が平均4.3%と前回の4.2%から悪化が見込まれており、ボーナスを除く週平均賃金は前回の7.7%から7.4%への伸び緩和が見込まれている。
*英雇用統計(8-10月平均)12日16:00
・ILO失業率
予想 4.3% 前回 4.2%
・週平均賃金
予想 7.7% 前回 7.9%(賞与含む・前年比)
予想 7.4% 前回 7.7%(賞与除く・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。