米CPIを受けてドル円は150円台前半に急落 市場に広がっている期待を正当化=NY為替概況
米CPIを受けてドル円は150円台前半に急落 市場に広がっている期待を正当化=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことでドル売りが強まった。ドル円は発表前の151.70円付近から150円台前半まで急落している。
米CPIは総合指数で前月比横ばいと予想を下回ったほか、コア指数も0.2%上昇と予想を下回っていた。ガソリン価格が全体を押し下げた。注目を浴びている住宅を除いたコアサービスインフレ、いわゆるスーパーコアも計算値で前月比0.2%と前回の0.6%から大きく低下。
ここ数カ月は多少の波があったものの、インフレは40年ぶりの高水準を記録した昨年から大きく落ち着いており、FRBにとっては心強い兆候を示しているものと思われる。パウエルFRB議長は追加利上げの可能性を温存しているものの、今回の米CPIは市場に広がっている利上げ終了観測を正当化する内容となった。
短期金融市場では、FRBの利下げの開始時期を発表前の6月から3月に前倒しする動きが出たほか、来年の7月FOMCまでに計0.50%ポイントの利下げを織り込む動きも見られた。
ユーロドルは買いが強まり、1.08ドル台後半まで買い戻された。本日の上昇で100日線と200日線を一気に回復し、リバウンド相場に加速のサインが出ている。終盤には7月から10月初旬までの下降波のフィボナッチ50%戻しも回復している。目先は61.8%戻しが1.0960ドル付近にあり意識される。
この日はドイツの11月調査のZEW景況感指数が公表されていたが、投資家のドイツ経済に対する信頼感は4カ月連続で改善した。インフレが減速する中で、ドイツ経済が落ち着きつつある可能性を示唆している。ZEWのバンバッハ所長は「統計内容はドイツ経済が底を打った印象を裏付けるものだ」と述べた上で、「景気への先行き期待の高まりに伴い、ドイツの工業部門や国内外の株式に対する見通しが一段と楽観的になっている」とも付け加えた。
*ZEW景況感指数(11月)19:00
結果 9.8
予想 4.9 前回 -1.1
ポンドドルも1.25ドル台まで一気に買い戻された。本日の上昇で200日線を一気に回復し、リバウンド相場に加速のサインが出ている。本日は7-9月の英雇用統計が発表になっていたが、英賃金の上昇ペースは前年比7.7%に鈍化し、過去2年半で最低の水準となった。しかし、失業率は4.2%と比較的低いままで推移する中で、英中銀の2%目標達成のために必要と思われる条件は整っていない。
一部からは、英インフレは今後緩やかにしか改善されず、市場が期待している利下げは2025年にずれ込む可能性もあるとの指摘が出ている。英労働市場が再びタイトになり始めているわけではないが、インフレは今後非常にゆっくりとしか低下しないと思われ、英中銀が利下げに踏み切るのは2025年初頭になるという。なお、短期金融市場では2024年の第2四半期以降の利下げを織り込んでいる状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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