ドル買い戻しの中で、ドル円は149円台後半での小動きに変化なし=NY為替概況
ドル買い戻しの中で、ドル円は149円台後半での小動きに変化なし=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は150円手前での振幅が続いた。ドル円は全体的に149円台後半での小動きに変化はないものの、NY時間かけてやや買い戻しが出ていた。前日に米10年債が一時5%台に上昇したが、直ぐに4%台に押し戻されたことから、ドル円も上げが一服。米10年債利回りの5%台は短期的にピークの水準とも見られており、値ごろ感の買い戻し(利回り低下)が入っているものと思われる。
米国債利回り上昇がドル円の下支えの1つとなっているだけに、ドル円も追随した格好だが、下押す動きもなく、150円をターゲットにした値動きは継続。来週のFOMCの見方については変化はない。今回は据え置きが確実視されているが、パウエル議長は追加利上げの可能性は残すと見られている。
一方、注目の日銀決定会合だが、ロンドン時間に気になる情報が流れていた。イールドカーブコントロール(YCC)の再修正が必要かどうかが議論の対象になり得るという。YCCを調整しても、日本経済に悪影響を及ぼす可能性は低いと日銀では考えているようだが、一方で、上限の引き上げ自体が長期金利を上昇させてしまうリスクへの懸念も日銀内にあると報じている。
米国債利回り上昇の勢いが弱まれば、YCCを再修正しなくても日本の長期金利も落ち着いてくることが期待できるとも考えているようだ。現状、米国債利回りは10年債が5%台を付けた時点で戻している。5%台が短期的にはピークとも見られている中で、これ以上の売り(利回り上昇)はリスクがあるととの見方もあるようだ。そのような中で、日銀がどう判断するか注目される。
ユーロドルはNY時間にかけて戻り売りが優勢となり、1.05ドル台に値を落とした。ショートカバーが加速し、一時1.06ドル台後半に上昇する場面が見られた。この日発表のユーロ圏のPMIが予想を下回ったこともユーロドルの上値を圧迫した。今週はECB理事会が開催されるが、ユーロ圏の財政改革をめぐる不透明感、利回り上昇、ユーロ圏の各国国債間のスプレッド拡大により、次回のECB理事会で主要な決定が下される可能性は低いとの見方が優勢となっている。
ただ、ECBが保有債券の償還分の再投資に関する現在のガイダンスを変更することはないと見ているが、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で保有した債券の再投資の早期縮小について議論はするだろうと見ているようだ。金融政策サイクルは、引き締め過ぎと引き締め不足のリスクがより均衡する段階に達しているという。
ポンドドルは1.21ドル台に伸び悩んだ。きょうの下げで21日線を再び下回り、リバウンド相場の可能性を残すか、明日以降の動きが注目される。本日は英国家統計局が実験データを使って6-8月の英雇用統計を発表。英国は8万2000人の雇用を失ったが、失業率は4.2%の低水準に留まり、労働市場は以前考えられていたよりも若干タイトなことを示唆していた。今回は試験的な算定方法で、税収や申告の数などのデータが新たに組み入れられている。
先週は6-8月の平均賃金(ボーナスを除く)が発表になっていたが、前年比7.8%増で、伸び率が今年1月以来初めて低下。一方、8月と9月の英消費者物価指数(CPI)は前年比6.7%と、賃金の伸びがインフレを上回っていた。ただ、市場の英中銀の見方に変化はなく、11月2日の英中銀金融政策委員会(MPC)は据え置きを有力視しており、それ以降の追加利上げについても可能性が低いと見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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