【来週の注目材料】雇用の伸びは鈍化も、総じて堅調さを維持か=米雇用統計
【来週の注目材料】雇用の伸びは鈍化も、総じて堅調さを維持か=米雇用統計
8日に4月の米雇用統計が発表されます。まずは前回3月の雇用統計を振り返ってみましょう。
前回3月の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+17.8万人と、市場予想の+6.5万人を大きく超える伸びとなりました。2月の数字が-9.2万人から-13.3万人に大きく下方修正されていますが、それを加味しても強い伸びとなります。失業率は4.3%と市場予想および2月の4.4%から改善しています。
こうした数字だけ見ると、かなりの好結果です。ただ、失業率に関しては、労働参加率が2月の62.0%から61.9%に低下しており、その影響が大きいとみられます。2月が7.9%となり7か月ぶりの低い水準となった広義の失業率であるU6失業率(注)は8.0%と小幅悪化しました。
※U6失業率:通常の失業率(U3失業率)に加え、調査期間中に求職活動を行わなかったが働く意思のある縁辺労働者や、フルタイムを希望しているものの、パートタイマーとしての職しか得られていない労働者を含んだ広義の失業率。
非農業部門雇用者数は政府部門が-0.8万人と6か月連続で雇用減となったものの、民間部門が18.6万人の大幅な雇用増となりました。
財部門は+4.3万人。悪天候の影響で2月が-1.3万人となった建設業が、反動もあって+2.6万人と好調。製造業は+1.5万人と2か月ぶりのプラス圏。製造業の増加幅は2024年11月以来の高水準となります。
民間サービス部門は+14.3万人となりました。2024年12月以来の高い伸びです。カリフォルニア州の医療従事者による数万人規模の大規模ストライキの影響で、2月分は2022年1月以来、4年超ぶりにマイナスとなった教育・医療部門が+9.1万人と大きく増加。景気に敏感で雇用の流動性も高いとされる小売業、運輸・倉庫業、娯楽・接客業がいずれもしっかり伸びるなど、好印象を与えています。一方、平均時給は前月比+0.2%、前年比+3.5%となり、市場予想の+0.3%、+3.7%、2月の+0.4%、+3.8%を下回りました。また平均労働時間も2月および市場予想の週34.3時間を下回る34.2時間となっています。物価高が警戒される中での賃金の伸び鈍化および労働時間の短縮は厳しい結果です。
関連指標の動向
週間ベースの新規失業保険申請件数は、雇用統計の基準日である12日を含んだ週の数字で、3月が20.5万件、4月が21.5万件とやや悪化しています。
4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は予想外に改善となりました。3月の92.2(91.8から上方修正)から89.0に大きく悪化する見込みとなっていましたが、結果は92.8に改善となっています。現況が予想の120.1に対して123.8、期待が予想の69.2に対して72.2と、ともに強く出ています。雇用部門の数字は、職が十分にあるとの回答が27.3%で3月の27.4%からほぼ横ばいになったのに対して、職を見つけるのが困難との回答が19.8%で3月の21.3%から大きく低下しました。注目される両者の差を示す指数は7.5%と、3月の6.1%から大きく改善しています。
1日に発表された4月のISM製造業景況指数は、予想の53.3を下回る52.7となり、3月から横ばいで推移しました。内訳を見ると、3月に大きく上昇した入荷遅延(サプライヤー配達)が60.6ともう一段の上昇を見せました。今回に関してはイラン紛争を受けたサプライサイドの混乱が影響していると見られており、市場にはネガティブな印象を与えています。一方、雇用指数は46.4まで低下しており、弱さが目立つ結果となりました。その一方で、仕入れ価格は84.6まで一段と上昇し、2022年4月以来の高水準を記録。根強い物価上昇圧力が強く意識される内容となっています。
今週の注目指標と展望
5日発表の4月ISM非製造業景気指数は53.7と3月の54.0から小幅悪化の見込みです。製造業同様に、投入価格の動向やビジネスアクティビティの弱さに注意したいところです。同時刻に発表される3月の米雇用動態調査(JOLTS)では、求人件数が680.3万件と2月の688.2万件から低下が見込まれています。また、2月のJOLTSでは採用件数が49.8万件減少の484.9万件にとどまり、パンデミック開始の2020年3月以来の低水準となりました。このあたりの改善が見られるかも注目されます。
6日発表の4月ADP雇用者数は、前月比+7万人と3月の+6.2万人とほぼ同水準の予想です。
これらを受けた4月の米雇用統計ですが、非農業部門雇用者数は+6万人と伸びが大きく鈍化する見込みです。ただ、ストライキの反動や天候問題などの特殊要因がないことを考えると、まずまずという印象です。ダラス連銀が試算しているブレークイーブン雇用(失業率を悪化させないために必要な雇用の伸び)は約3万人となっており、同水準を超えていることも好材料です。失業率は4.3%で維持、労働参加率は62.0%へ戻る見込みです。前回予想外に悪化した平均時給は前年比+3.8%と改善が見込まれており、総じて堅調な数字が期待されます。
予想前後であれば、今月中にも始まるとみられるウォーシュ氏体制での新FRBでも利下げを急ぐ必要性は見られませんが、予想外の弱さを見せると、利下げ期待が一気に強まる可能性がある点には注意が必要です。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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