為替相場まとめ8月21日から8月25日の週
21日からの週は、週末のジャクソンホール会議でのパウエル議長講演が注目された。それまでは週を通してドル買いが優勢となった。中国当局が利下げ、人民元買い、株価下支え、不動産規制緩和策など、不動産危機の状況に対処する姿勢をとった。しかし、人民元安や上海・香港株安の流れを反転されるには至らず。また、ユーロ圏や英国、米国などの最新のPMI速報値が発表され、いずれも前回から弱含む結果が相次いだ。特に、製造業にみならず非製造業にも悪化が広がったことが景気先行き不安につながった。IT企業の好決算に沸いたナスダック指数の上昇にも陰りがみられている。週後半にはパウエル議長のタカ派姿勢を警戒するムードも加わり、全般的にドル買い優勢となった。パウエル議長講演では、必要とあれば追加の金融引き締めを行う可能性が示された。しかし、データを確認し慎重なポジションを取ることも示されたことで、発表直後のドル買いの後、一転してドル売りとなった。もっとも全体を通すとインフレ対峙姿勢の強い物であり、ドル売り一服後は再びドル高となり、年初来高値を更新する動きを見せている。
(21日)
東京市場では、ドル円が145円台で推移した。先週末の市場ではポジション調整の動きもあり一時145円割れを付けたがすぐに買い戻しが入るなど下値しっかりの展開が続いた。一方で介入警戒感や中国警戒でのリスク回避の動きもあって上値も重く、上下ともに動きにくい展開。 24日-26日のジャクソンホール会議を前に慎重な姿勢も見られた。ユーロドルは朝から17ポイントレンジと落ち着いた動き。ドル人民元は元安が進んだ。10時15分に中国人民銀行は最優遇貸出金利を発表。1年物を0.10%引き下げたが、市場予想の0.15%を下回る下げに留まった。また5年物は0.15%利下げ見通しに反して据え置きとなった。この結果を受けていったん元買いとなったが、同時に発表された対ドル基準値が市場の期待するほどの元高とならず、すぐに元安に転じた。
ロンドン市場は、ドル円、クロス円が買われている。欧州株が堅調に推移、ロンドン時間に入ると米株先物も買われている。中国の国有銀行がオフショア人民元買いを実施しているもようで、元安の動きが一服。また、英住宅価格やドイツ生産者物価指数の低下が英欧中銀のタカ派姿勢を緩和させる期待も。米10年債利回りは4.30%付近へと上昇しており、今週末のパウエル米FRB議長講演が注目されるなかで、日米金利差拡大観測がドル円を下支えした面も指摘されている。ドル円は145円台半ばから146円手前水準へと上昇。クロス円も円安が進行しており、ユーロ円は158円台前半から159円付近へ、ポンド円は185円台前半から後半へと上昇。豪ドル円は93円台前半から93円台半ばへと買われている。また、原油先物が上昇していることでカナダ円は107円台前半から108円手前水準に上昇。週明けは目立った経済統計発表や発言イベントはなく、リスク動向や金利に関する思惑で動いていた。
NY市場では、ドル円が146円台で推移。先週末に一時145円を割り込む場面があったものの、週明けは買い戻しが入り、146円台に戻した。一時146.40前後まで上昇。米国債利回り上昇と円安がドル円を支援しているようだ。米10年債利回り一時4.34%まで上昇し、2007年11月以来の高水準となった。ユーロドルは1.09台に乗せる場面があったが、上値を抑えられる展開が続き、1.08台に再び軟化した。中国経済に対する不安の高まりに加え、ユーロ圏経済への先行き不透明感も強まる中で、ユーロに対する投資家心理は悪化しており、ユーロドルはしばらく苦戦する可能性があるとの見方も。今週は、水曜日のユーロ圏PMI速報値と、金曜日にラガルドECB総裁もジャクソンホールで講演を予定している。ポンドドルは1.27台での上下動、方向感のない展開だった。今年は意外にも好パフォーマンスを見せているポンド相場だが、景気回復を伴わなければその動きも危ういとの見方もある。
(22日)
東京市場では、ドル高・円安に調整が入った。NY市場同様に146円台では買いが続かず、ドル売りとなった。植田日銀総裁と岸田首相の会談報道を受けた円買いや、円債利回り上昇を受けた円買いに145.85近辺まで下げた後、146円前後に戻しての揉み合いとなった。17日に付けた直近高値146.56の手前にドル売りが入っていると見られ、上値追いに慎重。当局の対応警戒もあった。その後、岸田首相と植田総裁の会談では為替相場の変動についての議論がなかったと報じられたことで、少し円売りとなっている。ユーロドルは落ち着いた動き、若干ドル安も1.0910台までの上昇に留まった。ユーロ円はドル円同様に調整売りが少し入ったが、対ドルでのユーロ買いに相殺され159.40台から159.20前後までの値動きに留まった。
ロンドン市場は、調整主導の展開。24-26日のジャクソンホール会議、そのなかでの25日のパウエルFRB議長講演などを控えて直近までの値動きに調整が入っている。米債利回りは上昇一服。10年債利回りは4.30%台へと低下している。株式市場は堅調。ようやく香港・上海株が反発したことが好感されている。前日に引き続きナスダック先物も上昇。為替市場ではドル円は146円台、ユーロ円は159円台と直近高値付近からの売りが入りドル円は145.50付近、ユーロ円は158.50付近へと下押し。ユーロドルも1.09台では売りが優勢となり、1.08台後半に押し戻されている。ポンドは対ユーロでの買いが入っている分、下げは限定的。ただ、ポンドドルは1.2800近辺で上値を抑えられている。ポンド円は186円台半ばから186円台割れに。中国株の反発を受けて豪ドルやNZドルは堅調。豪ドル/ドルは0.64台半ばへ、NZドル円は0.59台後半へとじり高の動き。豪ドル円は93円台後半から94円ちょうど付近、NZドル円は86円台後半で堅調に推移している。ロンドン・欧州時間には目立った経済統計はみられず、総じて新規材料には欠けている。
NY市場は、方向感に欠ける動き。NY時間に入ってドル買いが優勢となり、ドル円は一時146円台に戻す場面が見られた。ロンドン時間には145円台半ばまで下落していた。為替市場は米国債利回りの動向を注視しており、NY時間に入って米国債利回りが再び上げに一時転じたことから、ドル買いで反応している模様。ただ、ドル円の状況に変化はなく、145円台と146円台の間を方向感なく行き来した。金曜日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演を控えて様子見の雰囲気が強い。ユーロドルは下値模索が続き、一時1.0835近辺まで下落した。あすのユーロ圏PMI速報値への警戒感がみられていた。ポンドドルはロンドン時間の序盤に1.28ちょうど付近まで買い戻されていたものの、NY時間にかけて戻り売りに押され、1.27台前半まで伸び悩んでいる。ロンドン時間に英産業連盟(CBI)が製造業の8月の受注見通しを公表していたが、英製造業の低迷が引き続き示されていた。生産量も前回から大幅に低下している。
(23日)
東京市場は、比較的落ち着いた値動き。ドル円は145円台後半で33銭程度のレンジ取引。ユーロドルはドル安がやや優勢で朝の1.0840台から1.0860台を付けている。もっともこちらも20ポイントレンジとドル円以上に限られた値動き。ユーロ円は対ドルでのユーロ買いもありしっかり。午前中はドル円の下げなどに159.20台から157.90前後を付ける動きも、昼前に158.10台を回復。午後はややしっかりとなった。この後のドイツ、フランスおよびユーロ圏、英国、米国の購買担当者景気指数(PMI)などを前に、積極的な動きは手控えられていた。
ロンドン市場では、欧州通貨が下落。この日発表された8月のドイツ非製造業PMIが47.3と前回の52.3から大幅に低下、景気判断分岐点50を今年初めて割り込んだことがきっかけ。続いて発表された英PMI速報値でも製造業、非製造業がともに低下したことがユーロやポンドの下落に追い打ちをかけた。内需のバロメータとなる非製造業の景況感悪化が今後のECBや英中銀の追加利上げ観測をやや後退させている。英独債券利回り低下とともにユーロドルは1.08台後半から1.08割れ目前の水準へ、ポンドドルは1.27台半ばから1.26台前半へと急落させている。当初はユーロ売りが先行も英指標発表後はポンド売りが強まっている。ドル円はクロス円の下落、米債利回りの低下とともに145円台後半から145.20台まで一時下落。その後も145円台後半には戻し切れていない。
NY市場では、ドル円が144円台に下落。ここ数日、146円台に何度か乗せるものの、いずれも跳ね返されており、金曜日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演を前に、ロング勢からの見切り売りが出ていたようだ。きっかけは欧米の企業のPMIで、いずれも弱い内容となり、欧州債と伴に米国債利回りも大きく低下し、ドル円を圧迫した。PMIは企業の先行きに対するセンチメントを計る指標であるが、製造業は引き続き弱さを示す一方、底堅さを堅持していたサービス業も弱さが示されたことが、ネガティブ・サプライズとなった。欧米の中銀は特にサービス業の強さに注意を払っているが、本日のPMIは、市場のタカ派な期待に一定のブレーキをかけたようだ。ユーロドルは下に往って来いの展開。ロンドン時間には一時1.08ちょうど付近まで下落したが、NY時間に入って1.0870付近まで一時買い戻された。ポンドドルも下に往って来いの展開。ロンドン時間に発表になった英PMIが弱い内容となったことで売りが強まり、一時1.26台前半まで下落する場面が見られた。しかし、NY時間に入ってロンドン時間の下げの大半を取り戻した。
(24日)
東京市場は、円売りが優勢。ドル円は朝方に144.60近辺まで軟化も、アジア株や米株先物・時間外取引の上昇を受けたリスク選好の動きで反発。午後には日経平均が一時280円超の上昇となったことも支援材料。145.20近辺まで買われた。クロス円もおおむね堅調。ユーロ円は朝方に157.11近辺まで軟化も午後には157.89近辺に高値を伸ばした。ポンド円は東京終盤に184.77近辺の高値を更新。ユーロドルは1.08台後半で18ポイントレンジでの取引にとどまった。
ロンドン市場は、ドルに買戻しが入った。前日NY市場では予想を下回る米PMI結果にドル売りが強まった経緯がある。ドル円はロンドン朝方に一時145円台割れとなったあとは再び買われ、高値を145.48近辺に伸ばしている。ユーロドルは東京市場で1.0877近辺に高値を伸ばしたあと、ロンドン市場では安値を1.0847近辺に広げている。ポンドドルも1.2729近辺を高値に1.2668近辺に安値を広げている。米10年債利回りは前日終値4.19%付近を軸に揉み合い。欧州株は米エヌビィディアの好決算を受けたナスダック先物の上昇を受けて堅調に推移。ドル主導の展開のながで、クロス円はまちまち。ユーロ円は157円台半ばで下げ止まりと157円台後半へ買われている。ポンド円は184円台後半まで買われたあとは184円台前半から半ばで揉み合い。豪ドル円は94円台乗せまで買われたあとは93円台後半へと押し戻されている。
NY市場でも、引き続きドルが堅調。ドル円は145.90台へと反発し、146円台に迫った。前日は欧米企業のPMIが揃って弱い内容となったことで、景気の先行き不透明感が強まり、米国債利回りの低下と伴にドル円も戻り売りが優勢となっていた。しかし、明日のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演を控え、ドル円は買い戻しが強まった。この日発表の米新規失業保険申請件数が予想を下回り、堅調な労働市場を示したこともドル円の買い戻しを加速させていた。明日のパウエルFRB議長の講演だが、市場ではタカ派色を残す内容になるとの見方が優勢となっている。ユーロドルは1.08台前半へと再び下落。ユーロ圏経済の低迷を示唆する証拠が増えており、市場ではECBが9月に金利を据え置く可能性を高めている。ポンドドルは1.25台に下落。前日発表の英PMIは利上げが英経済にますます重くのしかかっていることを示し、9月の25bpの利上げがピークになる可能性も残す内容との指摘も一部に出ていた。
(25日)
東京市場は、ドル高水準で売買が交錯。ドル円は午前に米10年債利回りの上昇などを受けて一時146.21近辺まで買われた。前日NY市場から一段高となった。しかし、午後には日経平均やアジア株の下落でリスク回避圧力を受け、145円台後半に押し戻される場面があった。取引終盤には中国の不動産ローン規制緩和などについて報じられ、上海・香港株が買いに反応、米債利回りも上昇した。ドル円は146.26レベルまで高値を伸ばした。ユーロ円は昼過ぎに157.37近辺まで下押しされたあとは157.80付近まで反発、下げを消す場面があった。ユーロドルは前日からのドル高の流れを受けて一時1.0777近辺まで安値を広げた。ただ、値幅自体は限定的だった。
ロンドン市場は、ユーロ相場が下に往って来い。第2四半期ドイツGDP確報値が前期比横ばいと速報値から変わらず。2四半期続いたマイナス成長は終了したが、回復力の弱さが示された。ジャクソンホール会議が開催されるなかで複数の関係者から、議論は続いているが、ECBの利上げ停止の可能性が高まっている、とみていることが報じられた。さらに8月ドイツIfo景況感指数が85.7と市場予想や前回値を下回った。一連の弱い内容にユーロが売られ、対ドルでは一時1.0766近辺、対円では157.24近辺まで安値を広げた。しかし、その後は反発。欧州株が下げ渋りプラスに転じたことや、ナスダック先物が下げを消したことなどが買戻しを誘った。パウエル議長講演を控えた調整の動きも指摘される。ユーロドルは1.08台乗せへ、ユーロ円は再び157.80付近へと買い戻されている。ポンドは対ユーロでの買いが下支えとなっている。ポンド円は1.25台後半から1.26台乗せ、ポンド円は183円台半ばから184円台乗せへと買われている。ドル円はロンドン朝方に146.26近辺に高値を伸ばしたあとは146円を軸とした上下動が続いている。
NY市場では、パウエル議長の発言を受けての乱高下となった。追加利上げの可能性を示した発言にドル円は146.10台から146.30前後まで急騰後、すぐにドル売りとなり、145.70台を付けた。今後に慎重な姿勢が示されたことに注目した動きと見られ、ユーロドルが1.0800台から1.0842を付けるなど、ドルは全面安となった。その後は一転してドル高となった。雇用のゆるみなども許容しての強いインフレ対応の意識がドル買いにつながったと見られる。ドル円は下げ分を解消するだけでなく、年初来高値を更新して146.63まで上昇。ユーロドルが1.0760台まで、1.2650台を付けていたポンドドルが1.2540台を付けるなどの動きとなった。動き一服後は週末を前にした調整にドル売りが少し出ている。
執筆者 : MINKABU PRESS
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