午後に入って警戒感からの円買い強まる=東京為替概況
午後に入って警戒感からの円買い強まる=東京為替概況
昨日の海外市場でドル高が広がり、ドル円は143円55銭を付ける動きとなった。この流れから東京早朝143円30銭前後で推移していたところに、格付け大手フィッチレーティングスが米国の長期外貨建て発行体デフォルト格付(IDR) について、従来のAAAからAA+に一段階引き下げることを発表。この格下げを受けてドル売りが入り、ドル円は142円75銭を付けた。
その後は少し不安定な振幅を経て、143円30銭台までドル買い円売りとなった。今回の格下げでの機関投資家などの投資状況への影響はそれほどないという見方や、格下げ後に米債利回りが若干低下(米債券価格が上昇)し、市場もこの格下げを深刻にとらえていないとの思惑がドル買い円売りを誘った。
もっとも午後に入って再びドル安円高が強まった。ドル円は142円60銭台までと格下げ直後の安値を下回る動きとなった。リスク警戒から前場に600円超の下げとなった日経平均が、午後に入っても下げ続け、一時840円超の下げとなったことで、リスク警戒が広がった。
円債利回りの午後に入っての急上昇も円買い材料として意識された。午前の定例オペについて、一部で増額の期待も予定通りの実施となったことなどを受けて円債利回りの上昇が見られた。10年債は直近で最も高い0.62%台を付ける動きが見られ、円買いにつながっている。
リスク警戒の動きはアジア全般に広がっており、日経平均だけでなく香港、韓国などの市場での株安が見られた。中国株に関しては景気支援策を好感も、未成年のスマホ規制を発表したことでハイテク株に売りが出ていた。リスクに対する動きが大きいオセアニア通貨の売りが目立っており、豪ドル円は午前の94円80銭台から94円ちょうど前後へ値を落とした。豪ドル円は昨日の豪中銀会合前の95円台後半から、据え置きを受けて94円台後半に下げていたが、そこからのもう一段の下げとなった。NZドル円は午前の88円20銭前後から87円10銭台と1円以上の下げとなった。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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