FOMC受けドル円は109円台に伸び悩む 議長はやはり慎重な印象=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は109円台に伸び悩んだ。午後になってFOMCの結果が発表された。大方の予想通りに政策は据え置きとなったが、声明で「経済は資産購入ペース縮小基準の目標に向け進展」と言及していたことからドル買いの反応が見られ、ドル円も110.30円近辺まで上昇する場面がみられたものの、パウエルFRB議長の会見が始まると、今度は次第にドル売りが強まり、109円台に伸び悩んでいる。
パウエル議長の会見はやはり慎重な印象で、インフレ上昇は一時的との見解を引き続き示したほか、デルタ株の感染拡大の影響を見極めたい姿勢も滲ませていた。また、資産購入ペース縮小の時期については「メンバー内で様々な見解が出ているが、時期については決定してない」と述べている。更に、一部から出ている米国債より早くMBS購入を縮小の案はあまり支持されていないことも明らかにした。今回もタカ派とハト派との間のバランスを取った印象もある。さらに労働市場については、雇用最大化というFRBの目標に遠く及んでいないとの見解も示していた。
ユーロドルはFOMCを受けて買戻しが優勢となり、1.18ドル台半ばに上昇。本日の21日線が1.1820ドル付近に来ているが、その水準を上抜いている。ユーロドルは1.17ドル台半ばが強いサポートとなり、1.18ドル台に戻していることから、テクニカル的にはリバウンド相場への期待が高まっている。本日のFOMCを通過して21日線を回復していることから、明日以降の動きが注目される。
明日は第2四半期のユーロ圏GDPと7月の消費者物価指数(HICP)速報値が発表される。GDPは前期比で1.5%、HICPは前年比2.0%が予想されている。ユーロ圏経済は第2四半期に景気後退から脱したと見られており、ワクチン接種の速度が上がり、行動制限も緩和されたことが要因となっている。特に小売、ホスピタリティ、レジャーサービスが回復を促進し、これらのセグメントでのより強力な活動が、GDPに1%ポイント程度貢献したと予想されているようだ。また、第3四半期についても、さらに力強い成長が見込まれているが、デルタ株の感染再拡大が予測に下振れリスクを加わえている。対照的に、産業と建設はサプライチェーン問題を反映し、抑制されたまま。しかし、これらのボトルネックが緩和されるにつれて、これらのセクターも今後の成長にさらに貢献することが期待される。ただ、ECBは先日の理事会で、新たに慎重な金利ガイダンスを示した。これにより今後数四半期は資産購入を高水準で維持されることが予想されている。デルタ株の感染再拡大のリスクは、ECBの金融緩和策の長期化の論理的根拠に追加される可能性があるという。
ポンドドルもFOMCを受け買い戻しが出ており、1.39ドル台に一時上昇。ポンドドルのローソク足は21日線の上を完全に回復。100日線が1.3925ドル付近に来ており、目先の上値メドとして意識されるが、きょうのFOMCを受けて、本格的なリバウンド相場に入るか明日以降の動きが注目される。
今週に入って英国の感染再拡大は鈍化傾向を見せ始めている。この傾向が続くようであれば、短期的にはポンドにとってはポジティブな材料になりそうだが、英中銀がハト派姿勢に再び傾いている傾向も見られている中で、ポンドの上値は押さえられるとの見方も根強い。ただ、北アイルランド議定書の問題でEUとの摩擦が再び生じており、ポンドの圧迫要因との指摘も少なくないが、EU離脱による英経済への影響が明確になるには何年もかかることから、ポンドへの短期的な影響は気にする必要はないとの意見も出ていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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