ドル円は本日高値圏での推移が続く=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円は本日高値圏での推移が続いている。きょうのNY為替市場、本日から第3四半期相場に入る中で、ドル円は前日の上げでモメンタムを強めている模様。前日に111円台がしっかりとサポートされたことで、ロング勢は上値追いへの自信を高めているものとみられる。本日は一時111.65円付近まで上昇し、パンデミック直前の高値である112円台前半を視野に入れる動きが見られている。明日の米雇用統計への反応次第ではその可能性も出て来た。
ただ、市場の一部からは、明日の米雇用統計はドルを動かす可能性はあるが、ドルの再評価には不十分との指摘も聞かれる。米雇用統計が肯定的な内容であるか失望的であるかにかかわらず、FRBのアプローチを大幅に変える可能性は低いという。ウイルス関連の不確実性が続く中で、FRBが新たなシグナルを発信する可能性は低く、ドルに強い勢いを与えることはないとしている。
ユーロドルはNY時間にかけて買い戻しが見られていたものの、依然として上値は重い。強いサポートとなっている1.18ドル台半ばの水準は維持しているものの、1.19ドル台に戻す気配もない。
ECBが資産購入プログラム縮小を開始したとしても、インフレにほとんど影響を与えないとの見方も出ている。ユーロ圏では民間部門が構造的な黒字を維持しており、金融機関の融資は抑制されているという。また、米国と同様に現在の急速なインフレ上昇は一時的な現象と考えられ、特にサービス部門ではベース効果が大きく、サプライチェーンのボトルネックや経済活動再開による繰延需要がインフレを押し上げている。それらは時間と伴に鎮静化されて行くことが期待される。しかし、インフレは今後数カ月間、金融の正統性の大枠への不安を煽り続ける可能性があるとも指摘した。
ポンドドルは下値模索が続いており、1.3765ドル付近まで下落。先月に1.37ドル台後半が強いサポートとなり、動向が注目されたが、本日はその水準を下回っていることから、明日以降の動きが警戒される。米雇用統計などをきっかけに、その水準を完全ブレイクするようであれば、200日線が控える1.36ドル台半ばが下値メドとして視野に入る状況。
EUはきょう、北アイルランドでの取り決めを巡る「ソーセージ戦争」と呼ばれる英国との対立について、3カ月間の停戦で合意した。EU離脱に伴い冷蔵肉製品の英国から北アイルランドへの出荷に関する猶予期間が7月1日に切れる予定だったが、それを3カ月間延長する。市場は、今回の延期措置はポンドにとって前向きな話ではあるが、緊張は再び高まる可能性があるとし慎重な見方を崩していない。双方の政治的相違は依然として明らかであり、EUと英国の間の貿易摩擦が再びエスカレートするリスクは高いように思われ、ポンドは今回よりもさらに窮地に立たされる可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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