ドル円は一時148円台に下落 明日のトランプ関税を控え警戒感 指標はスタグフレーション示唆=NY為替概況
ドル円は一時148円台に下落 明日のトランプ関税を控え警戒感 指標はスタグフレーション示唆=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りが優勢となり、一時148円台に下落する場面が見られた。この日発表の3月のISM製造業景気指数と2月の米求人件数を受けてドル安の反応が見られ、ドル円も下落している。
ISM指数は49.0と再び50を下回る縮小圏に再び低下したほか、米求人件数も予想外に強かった前回から減少。一方、注目されていたISM指数の仕入れ価格が22年6月以来の高水準に上昇している。高インフレ・景気減速のスタグフレーションを示唆する内容でもあり、市場ではリスク回避の反応が出ていたようだ。円相場は円高の動きも見られていた。
一部からは、関税措置がハード、ソフトのどちらの結果なるにしても、ドル円は下落のシナリオとの見方が出ている。貿易戦争がエスカレートするようなハードな結果となれば、株安と伴にリスク回避の円高がドル円を圧迫。一方、想定よりも影響が少ないソフトな結果になったとしても、ドル円は下落の可能性があると指摘している。
今年の米経済パフォーマンスは日本を上回る可能性は高いものの、粘り強いインフレにもかかわらず、景気後退に備えて利下げ期待を温存させているFRBと、関税の影響が少なければ利上げを継続したい日銀との差はドル円の上値重くする。ドルに昨年ほどの強さはなく、循環的にドル円は年初来の下げトレンドに戻る可能性が高いという。
ユーロドルは1.08ドルを挟んで上下動。本日は3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が公表されていたが、インフレは3月も鈍化を続け、ECBの目標の2%に一段と近づいた。ECB理事が特に注目しているとされるサービスインフレは3.4%と高い水準ではあるものの、前月の3.7%からは鈍化している。
ECB理事の中には今月17日の理事会では利下げを見送り、一旦休止に傾いているとのニュースも伝わっていたが、本日のデータから市場は追加利下げは可能と見ている模様。短期金融市場では77%の確率で追加利下げを見込んでいる状況。
ただ、明日のトランプ大統領の関税公表と、それに対するEUの対応次第では、なお情勢は流動的と見られる。
ポンドドルは一旦1.28ドル台に下落したものの、NY時間に入って1.29ドル台前半に下げ渋った。本日の21日線が1.2930ドル付近に来ているが、その水準での推移を続けている状況。ポンドドルは1.30ドルを境に上値が重くなって来ている印象だが、下値も底堅く推移しており、1月中旬からのリバウンド相場は堅持している状況。
先週、リーブス英財務相が春季予算案を提出していたが、アナリストからは、今回の英歳出計画はポンドにとってポジティブな見通しだとの評価も出ている。予算案の提出がポンドに打撃を与えるのではないかと懸念する声も多かったが、そうはなっていない。
リーブス財務相は140億ポンド相当の支出削減により、大幅な節約の可能性を見出した。これにより、英財務省には不測の支出に備えた約100億ポンドのバッファーができ、以前の計画よりも国債発行額を減らすことができる。それはポンドの支えとなると述べている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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