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とれんど捕物帳 黄色信号が再び灯し始めており、慎重姿勢は心がけたい局面

為替 

 今週のドル円、クロス円は買い戻しの動きも見られたものの、下げトレンドは加速している。市場は貿易問題における米中対立の不透明感を、景気後退への懸念に発展させており、米国債市場で2-10年債の利回り格差が一時マイナスとなり逆イールドが示現した。3ヵ月ー10年債は既に逆イールドの状況にあるが、ベンチマークである2-10年債が逆イールドに陥ったことで不安感が増したようだ。3ヵ月ー10年債の場合は、FRBの保険的な利下げ期待や、財政拡大に伴うファンディングの影響などテクニカル的な問題も指摘されていた。

 イエレン前FRB議長がテレビでのインタビューで、「現時点で逆イールドは信頼性の低い信号の可能性もあるが、景気後退の確率は上がっている」と述べていたが、インフレが上昇しにくい環境下で、逆イールドが教科書通りに先行きの景気後退を示唆しているものかはなお未知数だが、市場の警戒感は再び強さを増しているようだ。

 なお、週前半にトランプ政権が中国からの輸入品に賦課する予定の10%の追加関税について、一部製品に限り発動を12月15日まで延期すると米通商代表部(USTR)がウェブサイトで発表した。一部は予定通り9月1日に関税が発動される。延期になった製品には携帯電話やパソコン、玩具などや日用品が含まれており、新学期から年末商戦にかけての家計の消費に配慮した内容。

 企業サイドの景況感は製造業を中心にセンチメントの低下が顕著になっているが、経済の軸にある個人消費は、好調な労働市場を反映して力強さを堅持している。トランプ政権としては、ここで年末商戦の個人消費にダメージを与えるのは避けたいというのが背景のようだ。恐らく業界にも年末商戦の時期だけは避けたいと懇願されたのかもしれない。ただ、米中問題に関しては、基本的には解決にはほど遠い。議会からは、もっと強硬に攻めろという圧力も強まっており、簡単には許容できないのであろう。

 この決定を受け市場には一気にポジティブな雰囲気が強まり、105円台前半から107円手前まで一気に上昇。105円に接近すると値ごろ感からの押し目買いが強まる中で、105円を攻めあぐんでいたショート勢も敗走を余儀なくされたようだが、買い戻しは続かず、上値での戻り売り圧力も強かった印象だ。


 景気後退の懸念に関しては昨年終盤にも同様の雰囲気が広まっていた。FRBが緩和姿勢を強調したことで、株式は昨年のクリスマス以降、買い戻しが強まっていたが、米国債利回りは下げが続いている。今週の一連の動きに米成長見通しを下方修正するエコノミストも相次いでおり、中には米10年債利回りは2021年にかけて、日本やドイツと同様にマイナスに落ち込むとの見方も出始めている。FRBの行動も想定以上に早まることも予想されるが、FRBのパワーをもってしても、米景気後退は防ぐことはできないとのコメントも聞かれた。

 なお、米国債利回りからインフレの影響を差し引いたインフレ連動債市場で、米10年物利回りがマイナスに落ち込む場面が見られた。日本やドイツをはじめ主要国は既にマイナスで推移しており、その差がドル高の要因の一つとも指摘されていたが、もし、市場の懸念通りに世界経済が本格的な景気後退に陥った場合、為替市場はどのような反応を示すのであろうか。金利面ではFRBの利下げが活発化し、ドル金利が他国に接近することから、素直に考えればドル安が想定される。

 しかし、世界経済が景気後退に陥った場合、耐久性が最も高そうなのは米経済であろう。今週もそうだったが、意外にドルは底堅く推移している印象で、ユーロやポンドは上値が重い。もちろん英EU離脱やイタリア政局など欧州固有の問題もあろう。ただ、世界経済の不安定化により、米企業や米資金の本国回帰が加速する可能性も想定され、ドル金利は低下傾向ではあるものの、意外に資金はドルに集まる可能性も留意されるところではある。ただし、円資金も本国回帰が発生し、円高は避けられないところかもしれない。

 いずれにしろ、市場では黄色信号が再び灯し始めており、慎重な姿勢を心がけたい局面ではある。


 さて来週だが、米経済指標は住宅指標などが発表されるが、注目は21日のFOMC議事録と、23、24日にカンザスシティのジャクソンホールで行われるFRBの年次シンポジウムであろう。今週の一連の動きから市場では、9月FOMCでの0.5%の大幅利下げの期待も高まりつつある。23日にはパウエルFRB議長が講演を行う予定で何らかのヒントが示されるか要注目となりそうだ。

 米中協議の動向も引き続き注目となるが、今週に高まった景気の先行き不安のムードは来週も残るものと思われる。円高圧力は引き続き根強く、ドル円は上値が重い展開が警戒される。レンジとしては104.50~107.00円を想定。スタンスは「弱気」を維持。

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中期 下げトレンド継続
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次回の配信は9月7日(土)の午前を予定しています。ご了承ください。
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minkabu PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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