FX/為替「ドル/円、GW中の下落の半値戻し156円が視野に」 外為どっとコム トゥデイ 2024年5月9日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年5月9日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼8日(水)の為替相場
(1):植田総裁 円安が追加利上げの理由になり得る考え示唆
(2):独鉱工業生産は予想を上回る
(3):植田総裁「急速な円安は日本経済にマイナス」
(4):ボストン連銀総裁「金融政策を現行水準で維持する必要」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ドル高・円安基調に変化はなさそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
8日(水)の為替相場
期間:8日(水)午前6時10分~9日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):植田総裁 円安が追加利上げの理由になり得る考え示唆
植田日銀総裁は国会で、円安について「具体的なコメントは控える」としながらも「過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」「為替動向次第で金融政策の対応が必要になる」などと発言。円安の進行が追加利上げの理由になり得るとの考えを示唆した。鈴木財務相も「円安は輸入物価の押し上げというマイナス面に強い懸念」「市場を注視し、とるべき時にはしっかり対応する」などと述べたが、いずれも市場の反応は限定的だった。
(2):独鉱工業生産は予想を上回る
独3月鉱工業生産は前月比-0.4%と市場予想(-0.7%)ほどには落ち込まなかった。ただ、2月分は前月比+2.1%から+1.7%に下方修正された。
(3):植田総裁「急速な円安は日本経済にマイナス」
植田日銀総裁は講演後の質疑応答で「急速かつ一方的な円安は日本経済にマイナスであり望ましくない」とした上で、円安が「基調的な物価上昇率に影響してくる、そのリスクが顕著に高まれば政策上の対応が必要になる」との見解をあらためて示した。これも市場への影響は限定的だった。
(4):ボストン連銀総裁「金融政策を現行水準で維持する必要」
ボストン連銀のコリンズ総裁は「インフレ率が目標に向けて永続的に回帰するためには、需給をより一致させるために経済活動の減速が必要になる」と指摘。「経済活動とインフレ率の最近の予想外の上振れは、インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信が強まるまで金融政策を現行水準で維持する必要があることを示唆している」と述べた。
8日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:ドル高・円安基調に変化はなさそう
昨日のドル/円は取り立てて材料がない中で155円台へ続伸。米長期金利が小幅に上昇したことなどから前日比1円余り円安・ドル高の155.69円前後まで上昇した。日銀の植田総裁は「過去の局面と比べて為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」などと述べて、「ほとんど影響はない」とした4月26日の記者会見での発言を事実上修正。円安が利上げの理由になり得るとの考えを示唆したが、市場は特に反応を示さなかった。鈴木財務相も連日の円安けん制発言を行ったが市場は耳を貸さなかった。もはや口先の対応では円安を止められないとの見方が大勢のようだ。イエレン米財務長官が「介入はまれであるべき」と発言したことで、本邦当局は追加の円買い介入を発動しにくくなったとの憶測も出ている。
ドル/円は、日本のゴールデンウイーク中に円買い介入騒動と米4月雇用統計で160.20円台から151.80円台に下落した値幅の半値戻しに当たる156.00円付近に接近。このため本日は、いくぶん上値が重くなりそうではあるが、ドル高・円安基調に変化はなさそうだ。仮に156円台に乗せれば、市場は次の上値ポイントして5月1日に介入が発動されたと見られる157円台半ばを強く意識することになるだろう。
注目の経済指標:BOE政策金利
注目のイベント:BOE総裁会見
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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