今週のまとめ2月11日から2月15日の週
11日からの週は、リスク動向めぐり相場が振幅。前半はリスク選好の動きが優勢。米中貿易協議への期待、米予算合意への動きなどが好感された。ドル円は110円近辺の売りをこなし、111円台乗せへ。、豪ドルは底堅く推移した。中国貿易統計での輸出増などがリスク動向に敏感な豪ドル買いにつながった。NZドルも堅調。中銀がハト派姿勢に傾かなかったことが買いを誘っていた。しかし、12月米小売売上高が予想外の大幅低下となったことがリスク警戒を広げた。中国の物価指標が伸びを欠いたことも重石。株安とともにドル円、クロス円が反落。ドル円は110円台に押し戻されたほか、ユーロ円は124円台と週前半の上昇を消した。ポンド円は143円台から141円台へと下押しされた。ユーロにとっては欧州の景気鈍化への警戒感が、ポンドにとってはEU離脱をめぐる政治の混乱が上値を重くした面もあった。北京での米中閣僚級貿易協議が終了したが、声明は発表されず。来週同じメンバーでワシントンで協議を継続すると報じられた。中国側からは重要な進展があったと報じられている。米議会では予算案について合意した。ただ、トランプ米大統領は非常事態宣言を行う方針としており、民主党からの強い反発が予想されている。
(11日)
東京市場は、建国記念日のため休場。
ロンドン市場は、ドル買いが優勢。ドル円は110円台に再び乗せると高値を110.28レベルまで伸ばし、昨年末以来の高値水準となっている。ポンドドルが一時1.29台割れまで下落。この日発表された英GDP速報値や鉱工業生産などが弱い結果となったことに反応した。ユーロドルも連れ安となり一時1.13台割れとなった。春節明けの中国株が大幅高となり、欧州株も堅調に推移している。クロス円は円売りが優勢だが、取引中盤には上げ一服。英EU離脱問題については、目立った進展は報じられていない。一部報道によるとスペインで右派主導で早期総選挙を求める動きが高まっており、今後の火種となりそうだ。
NY市場は、ドル買いが継続。ドル買い・欧州通貨売りが優勢となる中で、ドル円は110.45近辺ままで上げ幅を広げた。全体的に市場のセンチメントが改善している一方で、欧州通貨安からの消去法的なドル買いと米国債利回りの上昇がドル円をサポートした。きょうから北京で次官級の米中貿易協議が再開しており、期待感が出ているもよう。ユーロドルは1.1265近辺、ポンドドルは1.2850近辺まで下落する場面があった。ユーロ圏経済への不透明感からユーロは売りが続いている。ポンドは、この日発表の10-12月期の英GDP速報値が成長鈍化を示したことが重石。
(12日)
東京市場は、ドル高・円安基調が継続。前日の海外市場でドル円は節目の110円ちょうど近辺をしっかりと上抜けした。きょうは日銀が買いオペを減額したことなどを受け、午前中に円買いが入ったが、110.35近辺までと押し目は浅かった。午後に入って日経平均が一段高となったことを好感して110.65近辺の高値をつけた。たユーロドルは1.12台後半での狭いレンジでの取引が続いた。メイ首相が夏にも辞任と英紙が報じたが、ポンドは反応薄。1.28台半ばから後半での推移。
ロンドン市場は、ドル買いが継続。ユーロやポンドなど対欧州通貨での動きが先行。この日は目立った英欧経済指標の発表はなかったが、これまで通り欧州景気鈍化への警戒感や英EU離脱に関する不透明感が両通貨の上値を圧迫している。序盤にユーロドル1.12台後半、ポンドドル1.28台前半で前日安値を下回る場面があった。ドル円は東京高値110.65レベルには届かず、110円台半ばと高値圏での揉み合い。欧州株が続伸、原油先物の上昇などで豪ドルやカナダドルは底堅く推移。対ドルでも両通貨は堅調な足取りを示した。米予算案に関する合意の動きや、米中貿易協議の進展期待などが株式市場に広がっているもよう。
NY市場は、リスク動向が改善し、ドル円は底堅さを堅持。目先で注目されている米中貿易問題と米政府機関閉鎖について、市場に楽観的なムードが広がった。米株は大幅上昇。ドル円は110円台後半から反落したが、110.35近辺で下げ止まり、その後は110円台半ばへと戻した。ユーロドルは1.13台を回復、ユーロ円は125円台乗せへと上昇。ポンドも買い戻しの動きが優勢。欧州景気鈍化警戒や英EU離脱をめぐ不透明感も、きょうは米中貿易協議や米予算案合意への期待がリスク回避ムードを改善していた。
(13日)
東京市場では、NZドル買いが目立った。NZ中銀の金融政策会合では事前予想通り現状維持を発表。声明では利上げ時期見通しを2021年第1四半期まで先送りとし、2019、2020年は据え置くとした。市場では豪中銀と同様に利下げの可能性を示すとの思惑があったもようで、NZドルが買われた。さらに中銀総裁が、利下げの可能性は高まっていないと明言し、一段高に。NZドル/ドルは0.68台半ばへと急伸。ドル円は、前日の米株高を受けた日本株の上昇とともに110.70近辺まで高値を伸ばした。
ロンドン市場は、ドル買いの動きがみられた。ユーロドルは1.13台前半、ポンドドルは1.29台割れと上値重く推移。豪ドル/ドルも小反落。いずれも前日からの上昇に調整が入った形。ドル円は序盤に110.77レベルと高値を更新し、その後も110円台後半で高止まり。欧州株は買いが先行したが、足元では上げ幅を縮小。リスク選好の動きはやや一服した。ユーロ円は125円台前半、ポンド円は142円台後半で小反落。この日発表された英消費者物価指数やユーロ圏鉱工業生産が予想を下回ったことがポンドやユーロへの売り圧力となったが、発表直後の反応は限定的だった。
NY市場では、ドル買いが優勢。米消費者物価指数が予想を上回ったことがきっかけ。ガソリン価格の低下で全体指数は前年比で前回から鈍化したものの、エネルギー・食品を除いたコア指数は予想を上回っていた。ドル円は一時111円台に上昇。ユーロドルは1.12台へ一段安。ポンドドルは1.28台半ばまで下押し。ポンドはロンドン中盤に1.29台半ばまで買われる場面があったが、NY市場では下げに転じた。EU離脱時期の延長をめぐる思惑が交錯した。
(14日)
東京市場は、ドル円、クロス円が前日からの高値圏を維持。ドル円は朝方に111円割れとなったが、下押しは浅く、昼過ぎには111.13レベルまで高値を伸ばした。豪ドルが堅調。中国の貿易統計で輸出の伸びが予想を上回り、同国の景気鈍化懸念が後退した。豪ドル/ドルは0.71台前半へ、豪ドル円は79円台乗せへと上昇。ユーロドルは下げ一服。ユーロ円が125円台を回復する動きに、1.1280付近へと小反発。
ロンドン市場は、ポンド売り主導でドル高・円高の動き。東京市場でのリスク選好ムードからは一変した。ポンドドルは一時1.28台割れ、ポンド円は142円台前半へと下落。ユーロや豪ドルなども対ドル、対円で上値を抑えられた。フォックス英国際貿易相は、合意なき離脱は貿易に混乱を生じさせると警告。ブリハ英MPC委員は合意なき離脱の場合は利上げよりは利下げの可能性が高く、政策金利を据え置いて様子を見る可能性との姿勢を示していた。きょうはEU離脱修正案をめぐり英議会で採決が行われる予定。ドル円は111円近辺での揉み合い。米小売売上高、生産者物価指数などの結果待ちに。
NY市場では、ドル売りが強まった。12月米小売売上高が予想外の大幅な減少となったことが背景。米債利回り低下とともに米株も下落した。クドローNEC委員長は、今回の小売売上高は政府機関閉鎖など特殊要因の影響として火消しに回った。取引終盤には、「トランプ大統領は予算案に署名した上で、非常事態宣言も行う」と報じられた。非常事態宣言には民主党側からの強い反発が懸念された。ドル円は110.50近辺まで一時下落、その後の反発は限定的。。ユーロドルは一時1.13台を回復も、その後は1.13近辺に戻すなど振幅。ポンドは軟調。英議会は政府の離脱修正案を否決。ポンド円は141円台半ばに下落。
(15日)
東京市場は、ドル円が軟調。昨日の海外市場での米小売売上高の弱い結果や、トランプ大統領の国境の壁についての非常事態宣言発令見込みなどを受けて、ドル安が進んだ流れを引き継いで、頭の重い展開。日経平均や香港ハンセン指数などが軟調な推移を見せる中で、リスク警戒感でのドル売り円買いに。一時110.26レベルに安値を広げた。中国の物価指標が弱かったことで豪ドルやNZドルが軟化。中国向け輸出の停滞やファーウェイをめぐる措置に警戒感も。
ロンドン市場は、ポンドが反発。1月の英小売売上高が事前予想を大幅に上回る伸びを示し、前回12月の低下を解消したことが背景。ポンドドルは1.27台後半から1.28台前半へ、ポンド円は141円手前から141円台後半へと反発した。その他主要通貨は比較的小動き。ドル円は110円台前半での揉み合い。ユーロ円は124.25レベルまで安値を広げたが、その後は下げを消している。ユーロドルも1.12台後半で小幅の上下動。米中貿易協議が終了したが、双方が会見を行わないことに株安の動きがみられたが、来週に同じメンバーで協議を継続するとの報道で反発した。スペイン首相が4月28日の総選挙を実施すると発表も、リスク回避の反応はほとんどみられていない。
NY市場はドル売りが優勢となった。朝方発表になった鉱工業生産指数が弱い内容だったことをきっかけにドルは利益確定売りが優勢となった。ドル円は前日の小売売上高を受けての調整の動きが強まっている。東京時間には110円台前半まで下落していたが、株高もあってNY時間にかけては買い戻しも入り110円台半ばまで戻す展開。
執筆者 : MINKABU PRESS
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