FX/為替「ドル/円、155円台後半 日銀は「タカ派的据え置き」との見方」 外為どっとコム トゥデイ 2024年4月26日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年4月26日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼25日(木)の為替相場
(1):鈴木財務相「ご理解いただきたい」
(2):米GDP悪化で一時ドル売り
(3):米財務長官「介入が稀であることを願う」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:日銀会合、総裁会見後に値動き活発化か/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
25日(木)の為替相場
期間:25日(木)午前6時10分~26日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):鈴木財務相「ご理解いただきたい」
鈴木財務相は、34年ぶりに1ドル155円台へ進んだ円安について「コメントは控えます」と発言。その後の国会答弁でも「適切な対応をしていく思いに変わりない」とした上で「今の局面で多くお話することができないということについては、ご理解をいただきたい」と述べた。
(2):米GDP悪化で一時ドル売り
米1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比年率+1.6%と市場予想(+2.5%)を下回った。個人消費の鈍化や輸入の増加が下押し要因となり10-12月期の+3.4%から減速した。一方、GDPに合わせて発表された米1-3月期個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)ではコア指数が前期比年率+3.7%と市場予想(+3.4%)を上回り、10-12月期(+2.0%)から加速。インフレの根強さを示す結果となったことで米長期金利が上昇した。また、米新規失業保険申請件数は20.7万件と市場予想(21.5万件)を下回り、予想外に前週(21.2万件)から減少・改善した。ドル/円は、GDPの下ブレで一時下落したが、コアPCEデフレーターの上振れを受けて切り返した。一方、クロス円はドル買いによるストレートドルの下落を受けて軟化したが、その後は夜間取引の日経平均先物が上昇に転じたことで持ち直した。
(3):米財務長官「介入が稀であることを願う」
イエレン米財務長官は「各国は異なる政策を採用することが可能で、市場における為替レートの調整はその一部だ」と発言。ただ、市場が決定する為替レートを持つ大国にとって、介入はめったにない状況に限定されるべきだとの見解を示し、「介入が稀であることを願う。そのような介入がめったに起きず、過度な変動がある場合に限定され、事前に協議があることが期待される」と述べた。
25日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:日銀会合、総裁会見後に値動き活発化か
昨日のドル/円は155円台後半へと続伸。米1-3月期個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)でコア指数が前期比年率+3.7%と高い伸びになったことで1990年6月以来34年ぶりの高値となる155.74円前後を付けた。なお、米10年債利回りはコアPCEデフレーターの発表後に昨年11月以来の4.73%台へ上昇した。もっとも、政府・日銀による円買い介入への警戒感は根強く、ドル/円の上昇ピッチは緩やかだった。
市場では、介入が発動されるとすれば本日の日銀による金融政策発表後との見方も出ている。日銀は政策金利を0~0.10%に据え置く公算が大きいが、一部報道によれば国債買い入れの規模縮小を検討するとのことだ。現在、ひと月6兆円を目途としている買い入れを減額すれば日銀のバランスシートは縮小に向かうことになるため、仮に減額が決まれば事実上の「量的引き締め(QT)」となる。そのほか、日銀が円安抑制の姿勢を打ち出すかにも注目が集まっている。
植田総裁は先週18日、円安が基調的な物価上昇率に無視できない影響を与えれば政策変更もあり得ると発言。今月9日には国会答弁で「為替が動いたから直接的に金融政策の変更を考えようということは『全くない』」と明言していただけに、ここにきてスタンスが変わったと見ることもできる。日銀の決定を市場が「タカ派的な据え置き」と受け止めれば円高に振れることも考えられる。一方で、警戒していたほどタカ派色が強くないと受け止められれば円安が加速する可能性もある。いずれにしても、正午前後になると見られる日銀の結果発表と15時30分からの総裁会見を受けてドル/円相場の値動きが活発化する公算が大きい。
注目の経済指標:日銀金融政策決定会合
注目のイベント:日銀総裁発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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