FX/為替「再び155円の「レッドライン」を巡る攻防に」 外為どっとコム トゥデイ 2024年4月19日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年4月19日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼18日(木)の為替相場
(1):豪雇用者数は予想外の減少
(2):神田財務官発言で円買いに傾く
(3):米新規失業保険申請件数は低位安定
(4):NY連銀総裁「利上げもあり得る」
(5):日銀総裁「金融政策の変更もあり得る」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:値動きが不安定化しそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
18日(木)の為替相場
期間:18日(木)午前6時10分~19日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪雇用者数は予想外の減少
豪3月雇用統計で、新規雇用者数は0.66万人減と市場予想(1.00万人増)に反して減少。失業率は3.8%と予想(3.9%)は下回ったものの、前月(3.7%)から上昇した。労働参加率は66.6%に低下した(予想、前月ともに66.7%)。
(2):神田財務官発言で円買いに傾く
財務省の神田財務官は、訪問先のワシントンで「日本の主張も踏まえて、為替を含む過去のG7における政策対応に関するコミットメントが再確認された」と述べた。コミットメントの内容とは「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得るとの認識だ」とした。これを受けて円買いに傾く場面があった。
(3):米新規失業保険申請件数は低位安定
米新規失業保険申請件数は21.2万件と前週から横ばいで低位安定。市場予想は21.5万件だった。その後に発表された米3月中古住宅販売件数は419万件と予想(420万件)を僅かに下回り、前月(438万件)から減少した。
(4):NY連銀総裁「利上げもあり得る」
NY連銀のウィリアムズ総裁は、米経済は好調だとして「利下げの緊急性は感じていない」と発言。利上げの可能性については基本シナリオではないとしながらも「データが正当化する場合は利上げもあり得る」と述べた。
(5):日銀総裁「金融政策の変更もあり得る」
鈴木財務相はG20財務相・中銀総裁会議後の記者会見で「為替市場の動向について日韓・日米・日米韓の枠組みで緊密な意思疎通ができた」と表明。植田日銀総裁は「(円安で)無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変更もあり得る」とした上で、円安の影響については「今度の(4月の)展望リポートで数値的にも示せると思う」と述べた。
18日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:値動きが不安定化しそう
昨日のドル/円は154円台後半へと小反発。財務省の神田財務官がG7で日本の主張も踏まえ為替のコミットメントが再確認されたと述べたことなどから154円台を割り込む場面もあったが、153.95円前後で下げ止まると早々に持ち直した。海外市場ではNY連銀のウィリアムズ総裁が年内利下げなしの可能性に言及したことなどから米長期金利が上昇。これを受けて154.68円前後まで強含んだ。
本日は、日本政府・日銀による円買い介入の「レッドライン」との見方もある155.00円を試す動きとなるかが焦点となりそうだ。155.00円付近には大量のノックアウトオプションが設定されているとの観測もある。オプション絡みの防戦売りや円買い介入への警戒感から突破は容易ではないと見るが、仮に上抜ければ上昇に弾みが付くことも考えられるため攻防の行方に注目したい。もっとも、155円台に上伸すれば介入発動の可能性も一段と高まるのは必至。17日の日米財務相会談で、米側は日本のドル売り・円買い介入について一定の理解を示したと見られることから、2022年10月のようにNYタイムの発動があってもおかしくない。本日のドル/円は、1ドル155円の「レッドライン」を上抜けするにせよしないにせよ値動きが不安定化しそうだ。
注目の経済指標:英小売売上高
注目のイベント:シカゴ連銀総裁発言
※時間は日本時間での表示になります。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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