FX/為替「ドル/円、155円の攻防は日銀が左右との見方」 外為どっとコム トゥデイ 2024年4月24日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年4月24日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼23日(火)の為替相場
(1):鈴木財務相「そう捉えられてもよい」
(2):ユーロ圏PMIはサービス業が改善
(3):英PMIもサービス業が改善
(4):米PMIはともに悪化でドル売り強まる
(5):日銀観測記事で一時円買い
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:155円の壁を前に上値は重い/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
23日(火)の為替相場
期間:23日(火)午前6時10分~24日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):鈴木財務相「そう捉えられてもよい」
鈴木財務相は、日米韓財務相会談で円安・ウォン安を巡る懸念を共有したことを受け、最近の円安を踏まえた「適切な対応」について「それが何かとは申し上げないが、そうしたことにつながる環境が整ったのかということについては、そう捉えられてもよいのではないか」と発言。ただ、米国が日本の為替政策に理解を示したのかとの質問には「具体的に米国がどのように捉えているかは、他国の立場なので明確にコメントすることはできない」と答えた。
(2):ユーロ圏PMIはサービス業が改善
独4月製造業PMI・速報値は42.2と冴えなかった(予想42.7、前回41.9)ものの、同サービス業PMIは53.3と市場予想(50.5)を上回り10カ月ぶりの水準に上昇。これより前に発表された仏4月PMI・速報値もサービス業で改善が見られたことからユーロ圏の景気先行き不安が後退。ユーロは全面的に上昇した。なお、その後に発表されたユーロ圏4月PMI・速報値も製造業が45.6と予想(46.5)を下回った一方、サービス業は52.9と予想(51.8)を上回った。
(3):英PMIもサービス業が改善
英4月製造業PMI・速報値は48.7(予想50.4、前回50.3)、同サービス業PMI・速報値は54.9(予想53.0、前回53.1)だった。
(4):米PMIはともに悪化でドル売り強まる
米4月製造業PMI・速報値は49.9と4カ月ぶりに活動拡大・縮小の分岐点である50.0を下回った(予想52.0、前回51.9)。同サービス業PMI・速報値は50.9と5カ月ぶりの水準に低下した(予想52.0、前回51.7)。これを受けてドル売りに傾いた。ただ、ドル売りは対円よりも対ユーロや対ポンドおよび対豪ドルで強かったことからユーロ/円やポンド/円、豪ドル/円が上昇。ドル/円はクロス円の上昇に支えられて154.50円台で下げ渋った。
(5):日銀観測記事で一時円買い
日本経済新聞が「日銀、円安加速の影響を議論 25日から決定会合」と報じたことを受けて円買いに傾く場面があった。記事によれば「日銀は為替が円安方向に進むことが輸入物価押し上げなどを通じて物価上昇率に及ぼす影響を議論する」とのこと。一方で、「日銀内では『足元で円安が基調インフレを押し上げているとは言えない』との声が多い」とも伝えたことから円買いの反応は一時的だった。
23日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:155円の壁を前に上値は重い
昨日のドル/円は高止まりの展開。ユーロ/円相場の上昇などを背景に154.87円前後まで強含んで1990年6月以来の高値を付けたが節目の155.00円を前に伸び悩んだ。日本政府・日銀による円買い介入への警戒感が上値を抑えた。一方で、米4月購買担当者景気指数(PMI)が製造業、サービス業ともに予想外の悪化となったことや、一部報道で日銀が今週25-26日に開く会合で円安加速の影響を議論すると伝わったことからドル売り・円買いに傾く場面もあったがいずれも154.50円台で下げ渋った。終値は前日からほぼ横ばいの154.83円前後だった。
ドル/円は引き続き155円の壁を前に上値は重いと見られるが、介入警戒で上値追いに慎重な分だけ下値では買いが入りやすく底堅さも維持する公算が大きい。155円を巡る攻防を左右するのは26日の日銀発表、との見方が多いこともドル/円を154円台にとどまらせる要因となりそうだ。
注目の経済指標:豪四半期CPI
注目のイベント:ECB高官発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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