今週のまとめ1日14日から1月18日の週
14日からの週は、ドルが堅調。特に対ユーロでのドル買いが目立った。ドイツの成長鈍化、ドラギECB総裁の慎重発言などでユーロ売り圧力が広がり、相対的にドル相場を押し上げた。中国の輸出入の縮小や成長鈍化見通しも加わり、米経済が低インフレ下での雇用増と、その他主要国よりも良好さが際立った面も。ドル円は109円台にしっかりと乗せる動き。米財務長官が、対中追加関税の引き下げを検討と一部で報じられており、市場に期待感を広げた。ポンドはEU離脱関連の報道に神経質な動きだった。メイ政権のEU離脱協定案は英下院で否決されたが、その後のメイ首相不信任投票も否決されており、早期の総選挙の可能性はほぼ無くなった。EU離脱期限の延長などポンドにとってはポジティブとみられる観測が広がっている。ポンドは対ドルを含めて各主要通貨に対して堅調。ユーロ相場とは対照的だった。
(14日)
東京市場は成人の日のため休場。
ロンドン市場は、リスク回避の動きが優勢。12月の中国貿易統計で輸出入ともに予想外の大幅減となったことが背景。中国の景気鈍化が懸念され、原油や資源関連株などが下落。週明けの欧州株および米株先物は売りが先行、取引中盤にかけても下げ幅を拡大している。ドル円はアジア午前の下落の流れを受けて、ロンドン市場では108円台前半から一時108円割れまで一段と下落。欧州通貨も軟調。11月ユーロ圏鉱工業生産が予想以上に落ち込んだことでユーロ売り圧力が広がった。ユーロドルは1.14台後半で上値重く、ユーロ円は123円台後半へと安値を広げた。一方、ポンドはあすの英下院採決を控えて、買いが再燃。先週末にはEU離脱期限延長についての報道がポンド買いを誘ったが、週明けも思惑は残っているもよう。ポンドドルは1.28台後半、ポンド円は138円台後半へ下押し後、139円台に戻す動き。
NY市場で、ドル円は108円台前半での取引が続いた。この日は米経済指標の発表もなく、ドル円は様子見気分が強い。下落して始まった米株が下げ渋る動きを見せたことや、米国債利回りがロンドン時間の下げを取り戻したことから中国貿易統計を受けたリスク回避ムードは一服。米株は決算発表を受けた銀行株の堅調さに支えられた。ユーロドルは1.14台後半での小動き。一方、ポンド相場はあすの英下院採決をめぐって情報が錯綜しており、神経質な展開。採決は否決される可能性が高いが、一部には可決の可能性も報じられていた。
(15日)
東京市場は、円安の動き。ドル円は108円台後半まで上昇。中国・香港株の買い戻しが優勢となり、昨日の中国の貿易統計を受けて広がっていたリスク警戒感が後退。米株先の上昇も見られ、円安の動きが広がった。ポンドが堅調。ドル全般が買われる中で、ポンドドルは1.29超えまでポンド買いドル売りが入るなど、力強い動きとなった。英議会採決の否決はほぼ確定的も、大敗ではなく僅差になる可能性が指摘されており、今後の修正案での通過などをにらんでポンド買いも。また、否定された場合のEU離脱期限の延長や、EU側のもう一段の譲歩への期待感も。
ロンドン市場は、欧州通貨が軟調。対ドル、対円ともに下落している。東京、アジア市場では中国の景気刺激策への期待から株高の動きとともに円売り圧力が優勢だった。しかし、ロンドン市場では一転して欧州通貨売りとともに円高やドル高の動きが広がっている。欧州株は堅調にスタートしたが、次第に上げを失ってきている。英議会での離脱協定案採決を控えていることに加えて、この日発表された2018年のドイツ成長率が1.5%と5年ぶりの低水準となったことがリスク回避圧力となっている。ドル円は108円台後半から前半へと下落。ユーロ円は124円台後半から124円割れへ、ポンド円は140円台前半から139円台前半へと下落。対ドルでも欧州通貨売りが強まっている。
NY市場は、欧州通貨売りが先行。欧州通貨の売りが優勢となり、相対的にドルが買い戻される展開。ドラギECB総裁が欧州議会で「最近の経済は予想上に弱い。大規模な刺激策が依然として必要」と述べ、ユーロへの売りが強まった格好。ユーロドルは一時1.13台に下落。終盤になって英下院でメイ首相のEU離脱案の採決が実施されたが、大方の予想通り否決された。432対202と歴史的大差での否決。ただ、ポンドは買い戻しが強まった。ポンドドルは採決前まで1.26台まで下落したが、結果発表後は1.28台後半まで買われた。採決前にメイ首相はEU離脱を巡り超党派の協議を今週開始すると伝わっており、ポンドの買い戻しを強めた模様。噂で売って、事実で買う展開。ドル円は一時108円台後半に上昇するなど底堅さを堅持。
(16日)
東京市場は、ドル円が108円台での推移。英下院での採決後のポンド買いでリスク警戒感が後退し、NY市場夕方に108円台後半まで上昇して朝を迎えたものの、朝方の株安で上値からは値を落とした。
採決での否決決定後急騰したポンドは、少し調整が入ってのもみ合いに。ポンドドルは1.28台後半から1.28台前半を付ける場面が見られた。もっとも、その後1.28台半ば超えを付けるなど、しっかり感が強い流れ。昨日ドイツの昨年の経済成長率の弱さなどに売りが出たユーロは1.14ばさみでの小動き。
ロンドン市場では、ドル買いが優勢。米債利回りの上昇とともにドル円は108.80台へと高値を伸ばしている。ポンドドルやユーロドルは序盤に上値を試したが、その後は軟調。ポンドドルは1.28台半ばと比較的底堅いが、ユーロドルは1.13台後半へと下落。豪ドル/ドルは0.72台から0.71台後半へと下押し。昨日の英議会採決では大差でEU離脱協定案が否決された。きょうは英内閣不信任投票が待ち構えている。EU委員会は、再交渉するつもりはないと再度表明した。英消費者物価指数の伸びは前年比2.1%に鈍化。ユーロ圏経済にとっては、昨日発表されたドイツ通年GDPの伸び鈍化が重石。また、カーニー英中銀総裁は、中国の成長鈍化について指摘していた。英欧中などの不安材料で、相対的にドルが買われやすい状況となっていた。欧州株は方向感に欠ける不安定な値動きになっている。
NY市場では、ドル円が109円台を回復。ユーロの上値が重くなっており、相対的にドル買いが優勢となったことからドル円は支えられている。また、引き続き米株が堅調に推移していることもサポート。英下院でメイ首相の内閣不信任案が否決されたことをきっかけに一時109.20近辺まで買われた。ユーロドルは1.14台を挟む振幅。ECB当局者から慎重トーンの発言が相次いだことが上値を抑えている。ポンドは方向感のない展開。英下院でメイ首相の内閣不信任案が否決され、ポンド買いの反応も見せたものの、全体的には方向感のない展開が見られた。なお、EUが英離脱時期を7月以降に延長することを協議するとも伝わっていた。ポンドドルは1.28台で神経質に振れた。
(17日)
東京市場では、ドル円が109円を挟んだ値動き。午前中にはポジション調整が入り、108.84レベルまで下押しされた。日経平均が序盤の上げを消す動きも重石。その後は、アジア株式市場で中国株に買い戻しが強まり、ドル円、クロス円ともに下げ渋った。メイ英首相の不信任決議否決を受けてNY市場夕方に1.29手前まで上昇したポンドドルは1.2880台を中心にしたもみ合いから、午後に入って少し売りが入り1.2860台に軟化。
ロンドン市場は、方向感に欠ける取引。欧州株や米株先物の軟調な動きとともにドル円は109円割れから108.70近辺へと小反落。ユーロ円は123円台後半、ポンド円は139円台半ばまで下落した。しかし、株式市場が下げ渋りの動きをみせると、円安方向に戻している。ドル円は108円台後半で上値が重いものの、ユーロ円124円近辺、ポンド円140円台前半などへと反発。ポンドはEU離脱関連の報道に神経質な動き。週明けにはメイ英首相が修正案を提示、月内には議会で審議される運び。市場にはメイ英首相の信任で、合意なき離脱は遠のいたとの楽観論がある一方で、離脱期限の延期や総選挙や2回目の国民投票を標榜する労働党の動きもある。
NY市場は、取引終盤にドル買いの動き。ドル円は109.40近辺に一時上昇。一部報道で、市場に落ち着きを取り戻させるために米政府が、中国への関税引き下げを検討と伝わったことが背景。ユーロドルは1.13台後半で上下動。ロンドンフィキシングにかけて売りが強まり、1.1370近辺まで一時下落した。ユーロは対ドルのみならず、対ポンドでも売り優勢。今週のドラギECB総裁の議会での発言から、ECBに対するハト派な雰囲気が市場に強まっている。ポンドは買い戻しを強め、対ドルで一時1.30ちょうど付近と、2ヵ月ぶりの高値水準に上昇した。今週英下院は、メイ首相とEUが合意した離脱協定案を大差で否決したが、野党から提出された内閣不信任案も否決しており、総選挙の可能性はほぼ無くなった。
(18日)
東京市場では、ドル円が堅調地合い。ドル円はNY市場高値を超えて109.44レベルまで上値を伸ばし、その後は揉み合いに。中国株が朝から堅調地合いとなり、リスク警戒の動きが後退。日経平均も力強い動きを見せたことで、円安の動きが広がった。 ムニューシン米財務長官が中国製品の関税引き下げを検討との前日報道の影響が残った。昨日一時1.3000を付けたポンドドルは1.29台後半の高値圏推移。一時1.2994まで上昇も、1.30手前の売りは崩しきれず。
ロンドン市場は、ドル買いが優勢。欧州株が堅調、米債利回りが上昇するなかでドル円は109.60近辺に高値を伸ばした。ポンドドルは前日の上昇に調整が入り、1.29台後半から1.29台前半へと反落。豪ドル/ドルも対ドルでは上値が重い。そのなかで、ユーロドルは1.14ちょうど付近での揉み合いと底堅い。この日は対ポンドでの買戻しが入っている。11月ユーロ圏経常収支は203億ユーロ黒字と前回の268億ユーロから黒字幅が減少。12月英小売売上高は前月比-0.9%と予想以上の減少となっていた。ただ、いずれの指標にも反応薄だった。
NY市場はドル買いが優勢となり、ドル円は109円台後半まで上昇。米中貿易協議への期待から市場ではリスク選好の雰囲気が強まっており、株高、米国債利回り上昇がドルの買い戻しを牽引していたようだ。
執筆者 : MINKABU PRESS
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