ドル円、一時155.70円近辺まで上げ幅拡大=NY為替概況
ドル円、一時155.70円近辺まで上げ幅拡大=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は引き続き買いが優勢となり、一時155.70円近辺まで上げ幅を拡大した。前日に節目の155円台にしっかりと乗せてたことで、東京時間には日本の当局からの口先介入も出ていた。片山財務相が「過度な変動を高い緊張感持って見極め」と述べたほか、本日に高市首相と会談した植田日銀総裁は「為替も議論した。政府と連携して為替動向とその経済への影響を注視する」と述べていた。
ただ、ドル円は154円台に伸び悩む場面があったものの、ロング勢の下値での押し目買い意欲は強く、海外市場に入って155円台に戻す展開。
AI関連を中心に株式市場が再び不安定になり、暗号資産市場でもビットコインが9万ドルを一時割り込むなど、市場にはリスク回避の雰囲気も見られているが、為替市場は比較的落ち着いた反応に留まっている。
高市首相との会談後に植田日銀総裁は「高市首相から要請・要望は特になかった」と述べた上で、「データ状況次第で適切に判断していく」と述べていた。実際にどのような協議を行ったかは不明だが、日銀の利上げの方向性に変化はないようだ。問題はスピードで短期金融市場では12月の利上げは見送られるものの、1月か3月には利上げを実施するとの見方で変わっていない。
FRBの12月利上げへの期待が後退する中、日米の金利差縮小が以前の想定ほど早まらないとの見方から、投機筋やファンド勢からの円キャリー取引への需要は引き続き高いようだ。
ユーロドルは1.16ドルを挟んでの一進一退が続いた。1.16ドル台では上値が重くなるものの、1.15ドル台では買いが入り底堅い値動き。一方、ユーロ円は180.30円付近まで一時上昇。ユーロ発足以来の最高値圏での推移は維持している。
アナリストは、ユーロドルはまだ上昇余地があると述べている。過小評価されており、下落よりも上昇の余地の方が大きいという。記録的な長期間となった米政府機関閉鎖が先週に終了したことを受け、遅延していた米経済指標が12月FOMCまでに大量に発表される予定。
遅れていた9月の米雇用統計は今週の木曜日に発表される。同アナリストは「米経済指標の発表が始まれば、ドルにとってリスクは下振れに傾いており、12月の利下げが再び市場のベースケースになると予想している」という。また、ユーロドルは年末までに1.18ドルまでの上昇を予想しているとも述べた。
ポンドドルは方向感のない展開が続き、1.31ドル台で上下動。一方、ポンド円は東京時間に203円台に伸び悩む場面があったものの、しっかりと水準を維持。10月下旬に上値を拒まれた水準を上回って推移しており、10月8日の年初来高値205.30円付近を視野に入れた展開は続いている。
明日は10月分の英消費者物価指数(CPI)が発表される。英雇用統計、GDPと弱い内容が相次ぎ、市場は12月の利下げ期待を高めている。明日のCPIもインフレの落ち着きを示すようであれば、決定打になりそうだ。市場では前年比で前回よりも鈍化が見込まれている。短期金融市場では12月利下げの確率を80%程度で織り込んでいる状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。