ドル円は153円台に下落 利益確定売りが強まる=NY為替概況
ドル円は153円台に下落 利益確定売りが強まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場、市場全体にリスク回避の雰囲気が広がる中、円高が優勢となり、ドル円は153円台に下落した。11月相場に入り、本邦勢も連休から戻る中、利益確定売りが出ている。
ただ、積極的に下値を試す動きまではなく、あくまで調整の範囲。155円台を視野に入れた動きはまだ続いている状況ではある。一部からは、高市首相が自民党総裁に選出された時点から約7円上昇しているが、首相が円安への対応に消極的と思われることを踏まえると、ドル円はさらなる上昇余地があり、高市トレードはまだ続く可能性があるとの指摘も出ていた。
155円を超えると介入の声も出てきそうだが、現時点ではその可能性は低いとも見られている。高市政権は「どちらかと言えば、日本経済全体で見れば円安の方が好ましい」と考えている節もある。原材料やエネルギー価格が以前よりも落ち着いており、輸入物価も下落が続いている。急激な動きは別だが、現状は看過できる範囲と見ている可能性もありそうだ。むしろ、米国の方が神経質に見ているのかもしれない。
ユーロドルは下値模索が続き、ついに節目の1.15ドルを割り込んだ。ユーロ自体の動意はなく、専らFRBの利下げ期待の後退を材料にしたドル高がユーロドルを押し下げている。ECBはすでに利下げサイクルを終了しており、当面は据え置きが予想されている。一方、ユーロ円は円高からの売りが強まり、176円台前半まで下落。きょうの下げで21日線を下回った。
ユーロ圏の経済ファンダメンタルズが堅調であることから、ECBがこれ以上利下げを進める可能性は低く、ユーロは回復に向かうとの指摘もアナリストから出ている。ユーロ圏のマクロ経済環境は概ね支援的で、今後もその傾向が続くと見られるという。ECBは先週の理事会で貿易を巡る不確実性の後退やガザ地区での停戦を背景に、成長に対する下方リスクが軽減したことを強調した。
現在、ECBは来年6月まで政策金利を据え置くと見込んでおり、その間にFRBは利下げを進めると予想している。そのため、ユーロドルは年末までに1.20ドルまで上昇し、2026年第3四半期には1.26ドルに到達すると予想しているという。
ポンドドルは下値模索が続き、1.30ドル台半ばまで下げ幅を拡大。年初から今年7月までの上昇波のフィボナッチ38.2%戻し水準を完全にブレイクしており、その場合、50%戻しの水準に到達する可能性が高まる。その水準は1.2945ドル付近にあり、心理的節目の1.30ドルを割り込むことになる。
一方、本日はポンド円も下げが強まり、200円割れを試す展開。21日線を下放れる動きを見せているが、目先は100日線が199円台半ばに来ており意識される。
リーブス英財務相が財政課題について言及したこともポンドを圧迫。同財務相は、「高い借入コストへの対応が必要だ」と述べ、「前政権と世界的な貿易摩擦が英経済に悪影響を与えた」と指摘。この発言を今後の増税の可能性を示唆したと市場は受け止めた模様。同財務相は、債務削減は次期予算の最優先課題であり、英経済をより持続可能な基盤に戻すことを目指しているとも述べていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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