ドル高一服 ドル円も143円台に下落 今週はFOMC=NY為替概況
ドル高一服 ドル円も143円台に下落 今週はFOMC=NY為替概況
きょうのNY為替市場はこのところのドル高が一服し、ドル円も143円台に値を落としている。この日のISM非製造業景気指数が予想外に上昇したことで144円台に買い戻される場面があったものの、終盤になって再び143円台に値を落した。
ストラテジストからは、「トランプ関税への警戒感は一服しているものの、構造的な米国離れのテーマが変わることはない。貿易合意への楽観は、複雑で進展の遅い交渉の現実へと後退する」とのコメントも出ていた。
今週はFOMCが予定されており、注目イベントの1つとなりそうだが、先週の予想を上回る米雇用統計を受けて、市場はFRBの年内の利下げ期待を後退させている。少なくとも6月の利下げ期待は7月に後退している状況。トランプ大統領からの利下げ圧力はあるものの、恐らくパウエル議長はこれまで通りに利下げに慎重姿勢を強調してくるものと見られている。
ただ、アナリストからは、FRBが予想通りに利下げを見送ったとしても、ドルは大きな支援を得られないとの見方が出ている。パウエル議長は先月の講演で、関税が経済とインフレに与える影響について、より明確な見通しが得られるまで待つ方針を明確にした。ただ、その後もドルは弱含みでの推移が続き、オプション市場でもドル安予想のポジションがドル高を上回っているという。
FOMCなどの今週のイベントリスクに備えてオプション市場では、ドル円のボラティリティが若干上昇。上昇リスクよりも下落リスクの方がやや意識されており、142円程度までの下落リスクも想定されているようだ。
ユーロドルは1.1360ドル近辺に買い戻される場面も見られていたが、後半に伸び悩む展開。ただ、本日1.1295ドル付近に来ている21日線は維持している。このところ上げが一服しているユーロドルだが、強気な見方は依然根強い。アナリストからは、12カ月後には1.22ドルまで上昇するとの予測も出ている。FRBはいずれ利下げを再開し、それに伴ってドルが圧迫される中、現在の1.13ドル台から1.22ドルまで上昇すると見ているという。
トランプ関税が経済に打撃を与える中、2026年6月までにFRBは計1.25%ポイント金利を引き下げると予測している。FRBは6月か7月までに対中関税の最終水準および他国の相互関税の将来について、より明確な見通しを得ているだろうとも指摘していた。
ポンドドルは一時1.33ドル台半ばまで上昇する場面が見られたものの、後半になって1.32ドル台に戻す展開。上値が次第に重くなっている雰囲気もあるが、日足ベースのローソク足は金曜日と本日で高値が同水準のツイーザー・トップ(毛抜き天井)が示現し、さらに上髭は短いが、逆トンカチも示現。戻り売りが強まりそうな形状ではあるが、目先は本日1.32ドルちょうど付近に来ている21日線を維持できるか注目される。
今週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が予定されており、利下げが確実視されている。それ自体はすでに織り込み済みではあるものの、追加利下げの可能性を強調してくるか注目される。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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