ドル円、一時148円台を回復 本日もトランプ関税に翻弄した1日=NY為替概況
ドル円、一時148円台を回復 本日もトランプ関税に翻弄した1日=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は147円台後半まで買いもどされている。円安が先行し、一時148円台を回復する場面も見られた。
本日もトランプ関税に翻弄した1日となった。午前中はトランプ大統領がカナダ産の鉄鋼とアルミニウムに従来の25%の倍の50%の関税を課すと伝わったが、オンタリオ州のフォード首相が25%の電力サーチャージの停止で合意したと発表。今度はトランプ大統領も50%の関税は引き下げを検討と述べている。
市場は目まぐるしい展開を見せていたが、ドル円は147円台での上下動に終始していた。
本日は日本の10-12月期のGDP2次速報が発表になっていたが、1次速報から下方修正されていた。個人消費も前期比変わらずに修正されている。ただ、日銀の利上げへの見方に変化はない。7月か9月が有力視されており、場合によっては6月の可能性も排除していない状況。
ユーロドルはきょうも買戻しが続く中、一時1.09ドル台半ばまで上げ幅を伸ばした。ドイツ国債の利回りは依然として上昇が続いており、10年債は再び2.90%台に上昇している。一方、米経済への懸念からドル安が続いており、ユーロドルの買い戻しを支援している。ウクライナが、米国が提案した30日間の停戦案を受け入れる用意があると伝わったこともユーロをサポートした。
ストラテジストからは、米成長懸念がインフレリスクを上回るようであれば、ユーロドルはさらに上昇の可能性もあるとの指摘が出ている。投資家の関心は明らかに米成長リスクに移っており、明日発表の米消費者物価指数(CPI)がインフレの粘着性を示した場合でも、市場がそれに対するFRBの政策への影響を見過ごすことを選択した場合、ユーロドルは短期的にさらに上昇する可能性があるという。12カ月以内に1.12ドルまでの上昇の可能性もあるという。
目先は節目の1.10ドルが意識されるが、さすがに過熱感は否めず、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは75と買われ過ぎの水準である70を上回って来ている。
本日もポンドドルは買い戻しが続き、一時1.2965ドル付近まで上昇。ポンドは脆弱なリスク心理が改善の兆しを見せる一方、ここに来て米経済の不安感が台頭しており、ドル安が優勢となる中、ポンドドルは1月中旬からのリバウンド相場を継続している。
英国債のイールドカーブがスティープ化しており、2-10年債の利回り格差は2022年以来の水準に広がっている。この日は英小売協会の2月の小売売上高が公表されていたが、予想を下回る内容で、英景気の低迷が長引く可能性も指摘されている。そのような中、英中銀の追加利下げ期待は根強く、2年債など短期ゾーン利回りが圧迫されていることで、イールドカーブがブルスティープ化している状況。
この日の英小売売上高は、英消費者が景気の先行き不透明感から支出に慎重な姿勢を崩していないことを示唆しており、食品を除く大半のカテゴリーで販売額が減少。弱い小売売上高は、リーブス英財務相が3月26日に発表する経済声明に影響を与える可能性も指摘されている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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