ドル売り優勢も円安が根強く、ドル円は底堅さを堅持=NY為替概況
ドル売り優勢も円安が根強く、ドル円は底堅さを堅持=NY為替概況
きょうの為替市場、NY時間に入ってドル売りが優勢となりドル円はロンドンフィキシングにかけて155円台前半まで急速に下落したものの、根強い円安で155.70円付近まで買い戻された。今週の米消費者物価指数(CPI)を始めとした一連の米経済指標を受けて市場はFRBの利下げ観測を強め、短期金融市場では9月と12月の年内2回の利下げを見込んでいる。
ただ、FOMC委員の姿勢に変化はなく、ここ数日伝わっている委員の発言は、インフレの動向をなお確認する必要があり、現段階では高金利継続が好ましいとし、利上げに慎重姿勢を強調している。本日はボウマンFRB理事の講演の事前原稿が伝わっていたが、場合によっては利上げの可能性に言及。以前と変わらずにタカ派姿勢を継続していた。予想されていたことではあったが、ドル円は次第に上値は重くなって来ているものの、下値での底堅さをなお堅持している。
ドル円は本日155.40円付近に来ている21日線を回復。再び上値を目指す展開になるか注目されるところではあるが、以前ほど上値には軽さは無いようだ。
ユーロドルはNY時間に入って買い戻されている。ロンドン時間には1.08ドル台前半まで値を落としていたものの、NY時間に入ってドルが再び売られ1.08台後半に戻した。リバウンド相場をしっかりと維持しており、強い上値抵抗と見られている1.09ドル台をうかがう展開を続けている。
市場は6月のECBの利下げ期待をほぼ確実視しているが、原油が急騰しない限り、ECBは7月にも連続利下げを実施することもあり得るとの見方が出ている。ユーロ圏のインフレは昨年末から着実に鈍化してきたが、4月は3月と同じ2.4%に留まった。ただ、この鈍化傾向は今後数カ月続くことが予想され、8月にはインフレが2%を割り込む可能性があるとしている。そのためECBは6月と7月に連続で利下げに踏み切る可能性があるという。
ただ、短期金融市場での6、7月の連続利下げの可能性は15%程度となっている。
きょうのポンドドルも1.27ドル台に上昇し、リバウンド相場を継続している。目先のポンドに関しての関心事は来週22日の4月の英消費者物価指数(CPI)にありそうだ。ベイリー英中銀総裁も言及していたが、エコノミストは急低下を予想しており、3年ぶりに2%目標を下回る可能性もあるとの見方も出ている。予想コンセンサスは前年比2.1%となっている。
市場ではFRBよりも早い英中銀の利下げ開始期待が出ている一方、英中銀は現在のバランスシート縮小ペースを維持する可能性が高いとの見方が出ている。英中銀は現在、9月まで年1000億ポンドのペースでバランスシートを縮小するとしているが、10月からもそのペースを継続する可能性が高いという。その大部分(870億ポンド)は英国債の償還分の再投資見送りだが、その他の130億ポンドは積極的な売りオペを意味するという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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