ドル円、一時146円台前半まで下落 ドル自体は方向感のない値動き=NY為替概況
ドル円、一時146円台前半まで下落 ドル自体は方向感のない値動き=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りが優勢となり、一時146円台前半まで下落した。ただ、前日突破した100日線の上の水準にあり、チャート的には底値を形成しそうな気配は堅持していた。
午後に公表された6月分のFOMC議事録を受けて、ややドル安の反応が見られた。大半が関税の影響が物価上昇に持続的に及ぶリスクを指摘し、追加利下げへの慎重姿勢を示唆していた。一方、景気減速や労働市場の緩やかな悪化も指摘し、9月利下げについて予備的な議論を実施していたことも明らかになった。その点では9月以降の利下げの可能性も滲ませる内容ではある。
ドル自体は方向感ない値動きだったものの、引き続き市場は関税のニュースに神経質になる中、買い戻しの流れは継続していた。関税の影響が米インフレを再上昇させ、FRBの利下げ期待を抑制すると見ているようだ。オプション市場でもドルは、過去2週間で最も強気な水準で取引されている。ストラテジストは「関税関連のニュースが短期的にドルの支援材料になる可能性がある一方、不確実性の高まりや、企業・消費者が直面する輸入コスト上昇に起因する米成長減速、雇用悪化、金利低下見通し、米国への資本流入減少といった要因により、中期的にはドルは着実に弱含む」と述べていた。
ユーロドルは方向感のない展開が続き、1.17ドル台前半での振幅に終始した。ドル高の動きは一服していたものの、ユーロドルは買い戻す動きまでは見られていない。一方、下押す動きも限定的で1.17ドルを割り込むと押し目買いも活発に出るようだ。本日も一時1.16ドル台に値を落としたものの直ぐに戻している。
ストラテジストはECBの当局者は、ユーロ高がさらに継続した場合、その影響についての発言を強める可能性があると指摘していた。先週、ECB当局者がユーロ高を牽制する最初の兆しが見られていた。ドイツ経済は今年も軟調が予想されており、輸出を圧迫するユーロ高に加えて、米国の関税引き上げの可能性が輸出企業にとって逆風になると見られている。ユーロドルは今後12カ月で1.20ドルまで上昇すると予想しているが、目先の1-3カ月の間は最近の上昇分の一部を巻き戻す可能性もあると見ているようだ。
ポンドドルは1.36ドル付近での狭い範囲での振幅が続いた。本日の21日線が1.36ドル手前に来ており、その付近で次の展開を待っている。アナリストは、ポンドの見通しは悪化しており、軟調な展開となるリスクが高まっていると指摘。最近の英経済指標は第2四半期のGDPが大幅に減速する可能性を示唆しているという。現在の弱い勢いが続けば、英中銀はより速いペースでの利下げに前向きになる可能性があると述べている。
英政府は財政的な混乱にも陥っている。財政赤字に対処するための大規模な措置がなければ、信頼性の格差は残り、市場の混乱がさらに広がるリスクがあるという。最近のような英国債の急激な売り込み(利回り上昇)は、逆にポンドにとってマイナスとなり、非常に混乱を招く可能性があると指摘していた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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