再送:ドル円は156円台で上下動 米PPIはまちまち パウエル議長は概ね変化なし=NY為替概況
ドル円は156円台で上下動 米PPIはまちまち パウエル議長は概ね変化なし=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は156円台で上下動した。この日発表の4月の米生産者物価指数(PPI)が前月比0.5%の上昇と予想を上回る内容で、為替市場は一旦ドル買いで反応したが、買いが一巡するとドルは戻り売りを強めた。前月分がマイナスに下方修正されており、甲乙つけ難い内容ではあった。
この日はパウエルFRB議長がオランダでのイベントで講演を行ったが、FOMC後の会見で示した姿勢と概ね変化はなく、為替市場も落ち着いた反応を見せていた。議長は次の行動が利上げになるとは思えないと述べる一方、金利を据え置く可能性の方が高いとも述べ、高金利の長期化の可能性に言及していた。なお、本日の米PPIについては、かなりまちまちだったとの見方を示していた。
いずれにしろ、市場は方向性を見出すのに苦労している模様だが、明日は本命の米消費者物価指数(CPI)が発表される。予想は前月比で0.4%上昇と、前回同様の高い水準が見込まれている。一方、前年比では前回からやや鈍化が見込まれている状況。ただ、予想を上回ったとしても、かなりの上振れでない限り、ドル買いで反応する可能性は低い雰囲気もある。一方、予想を下回っても利下げ期待が以前のように高まる可能性も低く、反応については未知数の部分が大きい。
ユーロドルは一時1.0770ドル付近まで値を落としたものの、リバウンド相場が崩れることもなく、逆に1.08ドル台に上昇した。本日の上げでユーロドルのローソク足が200日線の上に完全に出ており、強気のサインが出ている。本日はパウエルFRB議長とクノット・オランダ中銀総裁がパネルディカッションに登場していたが、総裁は6月の利下げ開始の可能性を認めた上で、その後の道筋についてはデータ次第としていた。
ファンド勢がユーロ高を見込むポジションを組んでいるとの指摘も出ており、ユーロ高を期待したオプションへの需要が2月以来の高水準に高まっているという。また、ヘッジファンドとトレーダーもここ数日ユーロショートを縮小していたという。
ポンドドルはロンドン時間に一旦1.25ドル台前半に下落していたものの、NY時間にかけて買いが膨らみ、1.26ドル手前に上昇している。きょうの上げで200日線の上を回復しており、本格的なリバウンド相場に入るか注目される。
ロンドン時間の下落については、この日発表の英雇用統計で失業率が悪化したことや、英中銀チーフエコノミストのピル委員が夏に利下げの可能性があると述べたことがきかっけとなっていた。
英雇用統計については、英失業率は悪化したものの、賃金の伸びが予想を上回っていた。1-3月の英ILO失業率は4.3%に悪化した一方、賞与を除く週平均賃金は前年比6.0%と非常に高いままであることが示された。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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