ドル円、142円台に再び下落 弱い米経済指標を受けてドル安強まる=NY為替概況
ドル円、142円台に再び下落 弱い米経済指標を受けてドル安強まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル安の動きが強まり、ドル円は142円台に再び下落した。この日発表のADP雇用統計とISM非製造業景気指数が弱い内容となったことで、ドル安が加速している。
ADP雇用統計は3.7万増と2年ぶりの低い水準となり、雇用が勢いを失いつつあることを示した。また、5月のISM指数が49.9と基準の50を下回り、縮小圏に入ったことがドルを圧迫している。縮小圏入りは昨年6月以来で、景気の先行き不透明感を強める内容。製造業はこれまでも弱さが示されていたものの、サービス業は底堅く推移していただけにネガティブ・サプライズではあった。
円相場については明日5日に行われる日本の30年債入札に市場が注目している。好調な結果であればドル円は145円を上抜ける可能性も指摘されているようだ。半面、前月の20年債、40年債に引き続き不調に終われば、142円台までの下落も十分あり得るとの見方も出ている。
米国でも来週、長期債や超長期債の入札が予定されており、日本の超長期債の入札結果が影響する可能性があるため注目度は高い。ただ、「スムーズに消化する」との見方も出ているようだ。
ユーロドルは1.14ドル台を回復。1.1450ドルにかけては上値抵抗もあるようだが、ドル安期待が根強い中でユーロドルは堅調な流れを継続している。明日はECB理事会が予定されており、0.25%ポイントの利下げが有力視されている。ECBは今回の理事会で経済見通しも公表するが、インフレと成長見通しは下方修正が見込まれているようだ。
市場は今回の利下げ以降のヒントを欲しがっている。ECBは経済状況が悪化する場合、例えば7月の猶予期間終了までに関税が合意に達しない場合などは、利下げを継続する可能性が高い。ただ、現状からは情勢が未知数なことから、ECBは利下げを終了するか否かで、どちらにも選択肢を残す姿勢を示すものと見られている。
金曜日に米雇用統計が控えていることもあるが、ユーロは大きくは動かないとも見られているようだ。オプション市場ではユーロのヘッジコストが10月以来の最低水準に低下している。
ポンドドルも一時1.35ドル台後半まで上昇。上昇トレンド続いており、上値抵抗も観測されている1.36ドルを試しに行くか注目される。
6月11日に予定されている英国の歳出見直しが予定されているが、財政の持続可能性への懸念から投資家の関心を集める可能性があるとの指摘が出ている。医療と防衛費の増額案は、他の部門の削減につながる可能性が高い。政治的な反発が生じれば、市場の感応度が高まる可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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