FX/為替「ドル/円、売買交錯で方向感定まりにくい 月末フローも」 外為どっとコム トゥデイ 2023年8月31日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年8月31日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼30日(水)の為替相場
(1):豪CPIは鈍化も影響は一時的
(2):独CPIが高止まりでECBの追加利上げ観測高まる
(3):米経済指標が予想を下回る
(4):ユーロ/円 15年振り高値を記録
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:方向感が定まりにくい展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
30日(水)の為替相場
期間:30日(水)午前6時10分~31日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪CPIは鈍化も影響は一時的
豪7月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.9%と市場予想(+5.2%)を下回り、前月の+5.4%から伸びが鈍化した。また、豪7月住宅建設許可件数も前月比-8.1%と予想(-0.5%)を大幅に下回った。これを受けて豪ドルは下落したが、アジア株が全般的に上昇する中で下げは一時的だった。
(2):独CPIが高止まりでECBの追加利上げ観測高まる
独ノルトライン・ウエストファーレン州の8月CPIが予想を上回る伸びとなったことでユーロ買いが優勢となった。その後も、ブランデンブルグ州やバーデン・ビュルテンブルグ州などでCPIが予想を上回り、最終的に独8月CPIは前年比+6.1%と高止まりした(予想+6.0%、前回+6.2%)。スペインでも8月CPIが予想を上回る伸びとなったことで欧州中銀(ECB)が9月に追加利上げに動くとの観測が高まった。
(3):米経済指標が予想を下回る
米8月ADP全国雇用者数は前月比17.7万人増と予想(19.5万人増)を下回った。その後に発表された米4-6月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比年率+2.1%と速報値の+2.4%から下方修正された(予想+2.4%)。個人消費は速報値から僅かに上方修正されたが、設備投資が下方修正されたことがGDPの伸び率縮小につながった。これらを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ打ち止め観測が広がるとドルが下落した。
(4):ユーロ/円 15年振り高値を記録
FRBの追加利上げ期待が後退した一方でECBの追加利上げ期待が高まる中、ユーロが上昇幅を拡大。ユーロ/円は159.77円前後まで上昇して2008年8月以来15年ぶりの高値を付けた。ユーロ/円につれる形でポンド/円も186.06円前後まで上値を伸ばした。なお、スイスフラン/円はこの日、166.60円前後まで上伸して過去最高値を付けた。欧州通貨に対してドルは下落したが、主要国で唯一のマイナス金利通貨である円は対ドルでも弱含みで推移した。
30日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:方向感が定まりにくい展開
昨日のドル/円は終値ベースで約0.3%上昇。ドイツ8月消費者物価指数(CPI)の高止まりなどを受けてユーロ/円が年初来高値を更新して上昇する中、対ドルでも円売りが優勢となった。米8月ADP全国雇用者数と米4-6月期国内総生産(GDP)・改定値が揃って予想を下回ったことで米利上げ期待が後退するとドルが売られる場面もあったが、145円台半ばで下げ渋ると146円台前半に持ち直した。
一昨日の米7月JOLT求人件数に続き昨日の米8月ADP全国雇用者数も下振れたことで明日1日に発表される米8月雇用統計も米労働市場の軟化を示す弱めの結果になるとの見方が広がっているようだ。このため、本日もドルは上値の重い展開が予想される。一方で、利上げ打ち止め観測を背景に米国株が堅調を維持する中で円の軟調地合いも続きそうだ。
本日のドル/円は、月末の実需フロー主導の動きになりやすいこともあって方向感が定まりにくい展開が見込まれる。
注目の経済指標:米PCEデフレーター
注目のイベント:ECB高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
経済指標・イベントの結果について
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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