ドル円は134円台に伸び悩むも、終盤に下げ取り戻す=NY為替概況
ドル円は134円台に伸び悩むも、終盤に下げ取り戻す=NY為替概況
きょうの為替市場はNY時間に入ってドル売りが優勢となり、ドル円も一時134円台前半まで下落する場面が見られた。ロンドン時間には一時135円台に上昇したものの、その滞空時間は短く、134円台に再び伸び悩んでいる。しかし、NY時間の終盤にかけて下げを取り戻している格好。
市場では、FRBの追加利上げが再び意識される中、為替市場はドル買い戻しの動きが出ている。ドル円も上値追いの動きを見せる中で本日は、日銀内で来週の決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)修正に対して、日銀内で慎重な意見が広がっていると伝わったこともドル円を135円台に押し上げた。米欧の金融不安を背景に不確実性が増したとの見方から、イールドカーブのゆがみ改善に急な対応が必要な状況ではないという。
しかし、135円台では利益確定売りも多く見られ、オプション絡みの売りも多数観測されている。きょうはロング勢も一旦134円台に後退している模様。ただ、135円の水準を突破し、200日線が控える137円台前半の水準を試すか注目の展開が見られている。
ユーロドルは1.09ドル台後半まで買い戻される場面が見られた。ただ、1.10ドルに慎重になっているようで、1.09ドル台半ばに伸び悩んでいる。ただ、21日線の上は維持しており、上向きの流れは続いている。
ユーロ圏の成長に対する楽観的見方、ECBの利上げ継続への見方、そして、エネルギー価格下落が、ユーロをまだ下支えする可能性がある。しかし、市場からは、それは一時的なものに過ぎないとの指摘が出ている。ECBの政策引き締めによるユーロ圏経済への逆風が今後ますます浸透して行くことから、ユーロドルは12カ月後に1.03ドルまで下落する可能性があるという。
欧州では、いくつかの要因によってエネルギー危機への懸念が緩和され、中国の経済再開によって産業界の楽観論が再燃している。しかし、ユーロ圏の力強い回復が持続する可能性は低いという。
ポンドドルは1.24ドル台半ばまで買い戻されている。ロンドン時間にはドル買いが強まっていたことから、ポンドドルは一時1.23ドル台に値を落とす場面も見られた。
きょうは3月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、総合指数は前回から鈍化はしていたものの、前年比10.1%と依然として2桁の伸びを続けている。コアインフレとサービスインフレも伴に強い内容だったことから、市場は5月の英金融政策委員会(MPC)での利上げを確実視しているようだ。
恐らく来月発表の4月分のデータは、前年のガス・電気料金の高騰の影響から、前年との比較では急速な低下が始まる可能性がある。しかし、今回の3月のデータは2%目標への回帰が緩やかな歩みであることを認識させ、英中銀の利上げサイクルが夏まで延長されるリスクを高めたようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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