ドル円、一時152円台に下落 株安と米人員削減数のデータに反応との指摘=NY為替概況
ドル円、一時152円台に下落 株安と米人員削減数のデータに反応との指摘=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル安が加速し、ドル円は一時152円台に下落する場面も見られた。一時152.80円近辺まで下落。米株式市場が下落するなどリスク回避の雰囲気が再燃しており、ドル円を圧迫した。米国債利回りも低下。米株式市場では、AI関連の高バリュエーションへの懸念が根強い。
米政府機関閉鎖で公式なデータの発表が見送られている中、この日発表の米人員削減数のデータに反応したとの指摘も出ている。朝方に米再就職支援会社チャレンジャー・グレイ&クリスマスが発表した米企業による10月の人員削減発表は、同月としては過去20年以上で最多となった。AIの浸透による産業構造の変化とコスト削減の加速が背景にある。
米企業が10月に発表した人員削減は15万3074件で、前年同月のほぼ3倍に達した。中心はIT・ハイテク企業と倉庫業だった。10月としては2003年以来の高水準で、当時は携帯電話の普及が現在と同様に産業に大きな変化をもたらしていたと調査元が指摘。市場では後退していた利下げ期待が再浮上しているという。
ユーロドルは1.15ドル台半ばまで買い戻された。前日は一時1.1470ドル付近まで下落していたが、1.15ドル台はサポートされている格好となっている。本日の21日線が1.1595ドル付近に来ており、その水準を回復できるかが目先の注目となる。一方、ユーロ円はドル円と伴に利益確定売りに押された。前日は21日線を回復する動きが見られていたが、再びその水準を下回る展開。
アナリストからは、最近の下落を受けてユーロドルは過小評価されているとの指摘が出ている。直近のドル高は、金利差や株式市場の調整を受けた安全資産需要という短期的要因で正当化できる範囲を超えていると指摘。ユーロドルは1.3%過小評価されていると推定しているという。
ユーロがさらに下落するには、ユーロに何らかの大幅なプレミアムが積み上がるか、米国の利下げ期待がさらに後退する必要がある。その上で、今後数日間で1.16ドルまで上昇する可能性があると予想しているようだ。
ポンドドルは買い戻しが優勢となり、1.31ドル台を回復した。ただ、ポンド円はドル円の下げと連動し、一時200円台に下落。この日は英金融政策委員会(MPC)の結果が発表され、政策金利を予想通りに4.00%に据え置いた。ただ、委員の投票は5対4と僅差での決定となり、市場は12月の利下げ期待を温存している。声明では「金利は徐々に下がる道筋の公算が大きい」と述べていた。
ただ、短期金融市場ではいまのところ、12月の利下げ確率は65%程度で見ており、政策発表前と変わらない水準となっている。ポンドは一旦売りの反応を見せたものの、すぐに買いの流れに戻している。ベイリー英中銀総裁が「インフレの下降軌道がより確実になるまで様子を見たい」と述べたことに敏感に反応した模様。
アナリストからは、12月の利下げの可能性はデータ次第だとの指摘が出ている。英労働市場と物価の次の2回のデータが、英中銀が12月に利下げするかどうかを決定する鍵となると述べている。本日のベイリー総裁の上記の発言は、利下げを決定する上で今後のデータの重要性を浮き彫りにしていると指摘している。なお、同アナリストは12月に0.25%ポイント引き下げられ、来年夏までに政策金利は3.25%に達すると予想している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。