ドル円は21日線と200日線の間で推移 次第に収束感が強まる=NY為替前半
きょうのドル円はNY時間にかけて買い戻しが優勢となる中、一時137円台まで上昇した。21日線と200日線の間での推移が続いており、クリスマス休暇に向けて次第に収束感が強まっているようだ。次のアクション待ちといった雰囲気。本日の21日線は137.60円付近、200日線が135.65円付近に来ている。
先週の米消費者物価指数(CPI)やFOMC、ECB理事会を通過して、市場にはリセッション(景気後退)への警戒感が強まっており、ドルを見直す動きも出ている。しかし、米インフレがピークの兆しを見せていることも事実で、FRBのタカ派姿勢を疑問視する声も出ているようだ。
FRBの今回の利上げサイクルが終盤に接近しているとの認識は市場も共有しており、5.00-5.25%がターミナルレート(最終到達点)のコンセンサスとなっているようだ。米地区連銀総裁などFOMC委員の一部からは、5.25%よりも上の可能性もあるとのタカ派なレトリックも出ているが、来年に向けて、インフレのピーク期待に市場の関心が集まるのか、それとも景気後退への懸念に集まるのか、ドル円も見極めたいところなのかもしれない。
ユーロドルはロンドン時間に1.0660ドル近辺まで上昇したものの、一時1.05ドル台に伸び悩む場面が見られた。先週のFOMCやECB理事会を通過して、ユーロドルは次第に上値が重くなって来ている雰囲気はあるものの、1.06ドルの水準を維持しており、11月からのリバウンド相場は継続されている。
きょうは12月調査のドイツIfo景況感指数が発表になっていたが、予想を上回る内容となっていた。先週のECBのタカ派姿勢を追認する内容でユーロもポジティブな反応を示していたが、一部からは、ECBの積極利上げが逆にユーロ圏経済に打撃を与え、来年のユーロは失速する可能性があるとの指摘も出ている。引き締めを大幅かつ、さらに延長するというECBの使命感はユーロ圏経済の活力を奪う恐れがあり、ユーロは直近の上昇を伸ばすのに苦労する可能性があるという。
ドイツIfo景況感指数(12月)18:00
結果 88.6
予想 87.4 前回 86.4(86.3から修正)
ポンドドルも1.21ドル台前半に下落。21日線が1.2145ドル付近に来ており、その水準を下抜けているが、本日の200日線が1.2095ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。
英中銀は先週の金融政策委員会(MPC)で0.50%ポイントの利上げを実施し、追加利上げの可能性も示唆した。しかし、インフレがピークを過ぎた可能性にも言及したほか、議事要旨では、英経済はリセッションに入り、第4四半期は0.1%のマイナス成長を見込んでいるとも指摘している。委員の投票行動が3つに分断したこともあり、FRBやECBに比べてハト派な印象が強かったようだ。
アプローチは様々な見方が出ているものの、ターミナルレート(最終到達点)は4.50%か4.75%程度が市場のコンセンサスとなっている。来年以降、通常の0.25%ポイントずつ段階的に引き上げとの見方の一方で、2月と3月に0.50%ポイントずつ引き上げて、4.50%で利上げサイクルを一旦終了との見方も出ている。
英中銀は利上げに時間をかける前に、英経済活動が弱まり、労働市場が緩み、そして、賃金の伸び鈍化の具体的な兆候を見たがっているという。そのような兆候は、次の2回のMPC後まで表れないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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