FX/為替「ドル/円今日の予想」 外為どっとコム トゥデイ 2025年12月11日号

主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年12月11日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
目次
▼10日(水)の為替相場
(1):中国CPI 伸びが加速
(2):ECB総裁 「強い耐性を示している」
(3):FOMC 3会合連続の利下げ
(4):FRB議長発言
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:大きく下押しする展開にはならない/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
10日(水)の為替相場

期間:10日(水)午前7時10分~11日(木)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国CPI 伸びが加速
中国11月消費者物価指数(CPI)は前年比+0.7%と市場予想通りに前月(+0.2%)から伸びが加速した。一方で、同生産者物価指数(PPI)は前年比-2.2%と予想(-2.0%)に反して前月(-2.1%)から下げ幅が拡大し、38カ月連続でマイナスとなった。
(2):ECB総裁 「強い耐性を示している」
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は「ユーロ圏経済は米国の関税政策に対して当初の予想よりも強い耐性を示している」と述べ、来週(18日)のECB理事会後に発表される最新の経済予測では「域内の経済成長見通しが引き上げられる可能性が高い」との見解を示した。
(3):FOMC 3会合連続の利下げ
米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を3.75-4.00%から3.50-3.75%へと25bp(0.25%ポイント)引き下げた。声明では「入手可能な指標は、経済活動が緩やかなペースで拡大していることを示している」としたほか、「雇用の伸びは今年鈍化し、失業率は9月までやや上昇した」「インフレ率は今年初めから上昇し、依然やや高止まりしている」と示した。また10月会合の声明では「追加調整を検討するに当たり」としていた文言を「追加調整の程度と時期を検討するに当たり」に修正し、利下げを一旦停止する可能性を示唆した。25bpの利下げは9人のメンバーの賛成による決定で、ミラン理事が50bp利下げを主張し、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁とシカゴ連銀のグールズビー総裁が据え置きを主張してそれぞれ反対票を投じたことも明らかになった。同時に発表された政策金利予測(ドットチャート)では2026年の利下げが1回(25bp)のみと前回(9月)から変更がなかったほか、7人が「来年は利下げなし」を想定していることが示された。
(4):FRB議長発言
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の会見で「政策金利を昨年9月以降では1.75%引き下げた結果、政策金利は推定される中立金利のレンジ内にあり、今後の景気動向を見極めていく体制は整っている」と述べ、「金融政策はあらかじめ決められた道筋にあるわけではなく、会合ごとに判断を下していく」と言及。また「新たな金利・経済見通しに基づくと、次の動きが利上げになる可能性は低い」との見解を示した。労働市場については「著しい下振れリスクがあるようだ」とした一方で、物価情勢については「インフレリスクは上方向に傾いている」と語った。議長の発言を受けてドルが乱高下し、ドル/円は156.68円前後まで上昇後に155.79円前後まで反落した。
10日(水)の株・債券・商品市場

ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)

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人気通貨ペア 本日の予想レンジ

ドル/円の見通し:大きく下押しする展開にはならない
昨日のドル/円は前日比0.5%ドル安・円高の156.07円前後で取引を終えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ決定後に行われたパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見中に一時156円台を割り込むと155.79円前後まで下落した。パウエル議長は「3会合連続での金利引き下げは、労働市場の安定化とインフレ抑制につながるはず」とした上で、今後の利下げについて「データとバランスをみて検討する」と発言。市場は、想定したほどタカ派的ではなかったと受け止めた模様で、米長期金利が低下するとともにドルが下落した。もっとも、FOMCがドットチャートで示した来年2026年の利下げ見通しは25bp(0.25%ポイント)1回のみ。19人中7人が「来年は利下げなし」を予想していることも分かった。米金利先物が依然として2回以上の利下げを織り込んでいることを踏まえると、金利とドルの低下余地は限られる公算が大きい。FOMCを通過したことで、市場の関心は来週の欧州中銀(ECB)理事会と日銀金融政策決定会合に移ると見られる。短期的にドルの調整が継続する可能性はあるが、ドル/円が大きく下押しする展開にはならないだろう。
注目の経済指標:米新規失業保険申請件数

注目のイベント:BOE総裁発言
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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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