ドル円は110円を割り込む動き パウエル証言は慎重姿勢を滲ませる=NY為替前半
きょうのNY為替市場はドル売りが強まっており、ドル円は110円を割り込む動きが見られている。きょうはパウエルFRB議長が下院での議会証言を行っているが、事前原稿が朝方に伝わり、米経済の回復について、「FRBが資産購入ペース縮小を開始できるだけの進展はまだ見せていない」と指摘したほか、インフレについては、「向こう数カ月高い水準が続いた後、鈍化する可能性が高い」との認識を示した。これを受けて米国債利回りが下げ幅を拡大し、米10年債は1.36%まで低下する中で、ドル円も追随している格好。
市場では今週の消費者物価指数(CPI)が強い内容だったことで、パウエル議長も若干タカ派色を見せるのではとの期待もあっただけに、ドルにある種の失望売りが出ているようだ。
一方、ユーロドルは買い戻しが優勢となっている。前日は1.17ドル台に下落し、下値警戒感を強めているが、きょうは一服している。ただ、積極的に戻りを試す雰囲気まではない。1.1840ドル付近まで一時上昇しているが、本日の21日線が1.1880ドル付近に来ており、目先の戻りメドとして意識される。
きょうはカナダ中銀が金融政策委員会(MPC)の結果を公表し、カナダドルの売りが強まっている。資産購入ペースを従来の週30億加ドルから20億加ドルに縮小したほか、金利に関するフォワードガイダンスは前回の内容を踏襲した。声明ではインフレの急上昇は一時的とし、また、2021年成長見通しを従来の6.5%から6.0%に下方修正している。22年、23年は上方修正した。全体的に慎重な雰囲気も出たのか、市場はカナダドルの売りで反応している。カナダ円は87円台に下落。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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