米CPI、予想を超える強い結果も、ドル買いは限定的に
米CPI、予想を超える強い結果も、ドル買いは限定的に
ドル買い一服後はドル売りの流れに
ECBは経済成長見通し、物価見通しを上方修正も
ラガルド総裁は慎重姿勢を崩さず
25名のECB理事会メンバー中3名が債券購入ペース減額を主張と報じられる
【東京市場】落ち着いた動き
朝から落ち着いた動きに。昨日のNY市場朝にかけて米債利回りの低下からのドル売りが強まり、
一時109円20銭台へ値を落としたドル円は、その後の買い戻しに109円60銭台まで上昇。
NY午後は109円60銭前後での推移に終始し、東京朝も同水準でスタート。
朝方、日経平均の上昇などを受けたリスク選好の動きにやや円売りが広がり、
NY市場高値を超える109円68銭を付けたものの、上値はそこまで。その後少し調整が入るも109円52銭までと、
狭いレンジでのもみ合いに終始した。
【ロンドン市場】イベントにらむ展開
午前中はドル買いがやや優勢も、値幅は限定的でECB理事会と米CPI待ち。
今週注目された二つのイベントを前に無理をする流れになく
市場は様子見ムードが広がる展開に。
【NY市場】米CPIはかなり強く出たがドル買いが限定的に
ECB理事会は事前見通し通り政策金利。量的緩和を維持。
ECBスタッフ見通しでは経済成長やインフレ見通しの上方修正を行ったが、
その後のラガルド総裁会見では、現状の超緩和的な姿勢を長期維持する慎重な見通しが示された。
25名の理事のうち3名がPEPPの購入ペース減速を主張と報じられたが市場の反応は鈍く
ユーロはやや動きにくさも見られた。
米CPIは前年比5%、コア前年比3.8%と予想を超えるかなり強い数字となった。
この結果を受けていったんはドル買いも続かずl
その後逆にドル売りが広がる展開に。
ドル円は109円80銭前後まで上昇も、109円30銭台へ値を落とす動きに。
【本日の見通し】上値の重さ意識
注目された米消費者物価指数は予想を超える前年比5%という高水準に。
変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア部分でも3.8%の伸びに。
FRBは直近の物価上昇について、一時的なものとの姿勢を崩していないが、
地区連銀総裁の一部などから強い警戒感が出てきているだけに、
来週のFOMCでの判断などが気になるところ。
ただ、そうした状況でも昨日はドル買いが限定的で、その後逆に売られた。
ドルの上値の重さが印象付けられた形だけに、流れはやや下方向か。
109円00銭手前の買いを試しに行く可能性もありそう。
【本日の戦略】戻り売り
上値の重さが意識されるなk、スウィングは戻り売りの流れか。
109円台半ばから後半にかけての売り上がりと、110円超えでのストップという流れに見える。
ただ、週末を前に無理をしたい状況ではない。いったん様子見に回る手も。
中長期的なドル高基調については継続していると見ており、売りからはやや入りにくい面も。
デイトレは売りからの回転。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《6/10 木曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 109.63 1.2180 133.53
高値 109.80 1.2195 133.76
安値 109.31 1.2144 133.04
終値 109.33 1.2170 133.10
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《6/10 木曜日の主要株式指数》
日経 28958.56 +97.76
DOW 34466.24 +19.10
S&P 4239.18 +19.63
Nasdaq 14020.33 +108.58
FTSE 7088.18 +7.17
DAX 15571.22 -9.92
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《6/10 木曜日の商品市場》
NY原油先物7月限(WTI)(終値)
1バレル=70.29(+0.33 +0.47%)
NY金先物8月限(COMEX)(終値)
1オンス=1896.40(+0.90 +0.05%)
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《6/10 木曜日に発表された主な経済指標》
【英国】
RICS住宅価格指数(5月)08:01
結果 83.0%
予想 77.0% 前回 76.0%(75.0%から修正)(RICS住宅価格指数)
【日本】
国内企業物価(5月)08:50
結果 0.7%
予想 0.5% 前回 0.9%(0.7%から修正)(前月比)
結果 4.9%
予想 4.5% 前回 3.8%(3.6%から修正)(前年比)
【トルコ】
失業率(4月)16:00
結果 13.9%
予想 N/A 前回 13.0%(13.1%から修正)
【南アフリカ】
製造業生産高(4月)20:00
結果 -1.2%
予想 0.5% 前回 3.7%(3.4%から修正)(前月比)
【ユーロ圏】
ECB政策金利(6月)20:45
結果 0.0%
予想 0.0% 前回 0.0%(ECB政策金利)
結果 -0.5%
予想 -0.5% 前回 -0.5%(ECB預金ファシリティ・レート)
結果 0.25%
予想 0.25% 前回 0.25%(ECB限界貸出ファシリティ)
【米国】
消費者物価指数(5月)21:30
結果 0.6%
予想 0.5% 前回 0.8%(前月比)
結果 5.0%
予想 4.7% 前回 4.2%(前年比)
結果 0.7%
予想 0.5% 前回 0.9%(コア・前月比)
結果 3.8%
予想 3.5% 前回 3.0%(コア・前年比)
新規失業保険申請件数(05/30 – 06/05)21:30
結果 37.6万件
予想 37.0万件 前回 38.5万件(前週比)
結果 349.9万件
予想 365.0万件 前回 375.7万件(377.1万件から修正)(継続受給者数)
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《6/10 木曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【ユーロ圏】
*ECB
PEPPは少なくとも2022年3月末まで継続。
PEPPの規模を1兆8500億ユーロに維持。
PEPPの総額を使い切る必要はない、規模拡大も可能。
PEPPは極めて高いペースで継続へ。
*ECBスタッフ予測
2021年の経済成長見通しを3月予想の4.0%から4.6%に引き上げ。
2022年は3月予想の4.1%から4.7%に引き上げ。
2023年は3月予想の2.1%に据え置き。
2021年のインフレ見通しを3月予想の1.5%から1.9%に引き上げ。
2022年は3月予想の1.2%から1.5%に引き上げ。
2023年は3月予想の1.4%に据え置き。
*ラガルドECB総裁
基調的な物価上昇圧力、依然として弱い。
金融環境は引き続き広い範囲で安定。
経済活動は下半期に加速するだろう。
経済は段階的に再開してきている。
経済データはサービス部門の回復を示している。
不透明感は残る。
今後数カ月でヘッドライン・インフレは上昇するだろう。
短期的な見通しはパンデミックの状況次第。
インフレ上昇の大部分はベース効果によるもの。
基調的なインフレ圧力は引き続き抑制。
スラックの巻き返しが基調インフレを緩やかに下支え。
家計の貯蓄率の低下が回復ペースを押し上げるだろう。
ユーロ圏の成長リスクはほぼ均衡。
早まった財政刺激策の終了は回復を害するだろう。
財政措置は一時的かつカウンターシクリカルであるべき。
野心的かつ協調的な財政スタンスが引き続き大事だ。
3カ月前よりも経済見通しはより楽観的に。
最新のシグナルは力強い回復を示している。
PEPP終了に関する議論はそのうちに、今は時期尚早。
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《本日予定されている主な経済指標》
【英国】
鉱工業生産(4月)15:00
予想 1.2% 前回 1.8%(前月比)
予想 30.5% 前回 3.6%(前年比)
製造業生産高(4月)15:00
予想 1.5% 前回 2.1%(前月比)
予想 42.2% 前回 4.8%(前年比)
商品貿易収支(4月)15:00
予想 -118.0億ポンド 前回 -117.1億ポンド
【インド】
鉱工業生産(4月)21:00
予想 120.0% 前回 22.4%(前年比)
【米国】
ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値(6月)23:00
予想 84.2 前回 82.9
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員